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ActⅠ Scene 4 : 墓標での誓い。②

 たとえ目には見えなくとも、今は亡き両親やシャーリーンたちの魂はこの地に芽吹き続けている。そう思うと、ほんの少し塞ぎ勝ちな気分は楽になる。  "シャーリーン・ゲリー この地で安らかに眠る"  カルヴィンは文字が刻まれた楕円形の石版の前に立ち、はっと息を飲んだ。  墓標のすぐ傍らには、花言葉同様にどこまでも清い色をした純粋な白の百合の花束が添えられている。  百合は生前、彼女が大好きだった花だ。  九年という長い月日を過ぎた今、世間ではすっかり過去の人物となり、忘れられつつある。  それなのに……。  心優しい誰か――彼女、もしくは彼はシャーリーンを今でも覚えてくれている。こうして彼女が好きだった百合の花を、命日のこの日に手向けに来てくれることが素直に嬉しい。  自分以外にもシャーリーンを想ってくれている人がいるという事実に、シャーリーンの命を奪った相手への憎しみに染まりそうになるカルヴィンの心が救われる。  カルヴィンは膝立ちになると小脇に抱えていた百合の花二輪を、先に手向けてくれている百合の花束の隣にそっと置いた。 「姉さん、今日はいい知らせを持ってきたよ。ようやく姉さんを殺した犯人を突き止められるかもしれないんだ」  カルヴィン以外、人の声ひとつしない静かな景色の中、そっと口を開き、シャーリーンに報告した。その声はカルヴィンが思っていた以上に掠れていた。気まぐれに吹く木枯らしに掻き消されてしまう。

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