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ActⅠ Scene 4 : 墓標での誓い。③

 ごくんと食道を縮めるようにして喉を鳴らせば、喉の奥がひりついているのがわかる。緊張からか、口内はカラカラに乾いていたのだ。  自分はそう日が遠くないうちに恐ろしい殺人犯と対峙することになる。その光景を想像するだけで意気地なしの心が悲鳴を上げる。  正直、探偵とは名ばかりで体力も運動神経もない細身の自分では殺人犯に勝てる気がしない。  それでも――カルヴィンはたったひとりの肉親だったシャーリーンの命を奪った相手を許せなかった。  そして今に限っては、シャーリーンの仇討ちをしようとあんなに固く誓った決意が今にもぽきっと折れてしまいそうになる自分が何よりも誰よりも許せない。  自分はけっして勇敢な性格ではない。カルヴィン自身、理解はしていたが、まさかここまで臆病だったとは思ってもいなかった。  昨夜にしてもそうだ。白骨化の遺体と例の男性を見た瞬間、心の底から恐怖を感じて一歩も動けずにいた。 「とにかく、あの男を捜さないと――」  ぽつん。  誰に言うでもなくカルヴィンが口にした相手を示す人物は、昨夜出会った男性だ。  足を踏み外し、地底に落ちてしまったカルヴィンはあれから木の幹を引っ掴みながら自力で這い上がり、土埃で汚れたまま警察に出向いて事情を話した。 彼らはとにかく疑り深い。その上で、カルヴィンは彼らに見たものすべてを話さないといけなかった。おかげで警察に理解してもらった頃には夜もすっかり明けていた。

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