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ActⅠ Scene 7 : 完璧な口づけ。⑨

 この美しい堕天使に抱かれて上り詰めたい。  いっそう躰を弓なりに反らし、快楽を受け入れる。  彼の後頭部に腕を回し、たくましい躰とより密着するよう体位を変える。  カルヴィンは自分でも驚くほどに艶やかな声を上げ、彼が絶頂へ導いてくれるようひたすら強請った。  首筋に彼の歯が触れた――直後。ふいにカルヴィンの躰が狂おしい熱から解き放たれ、若干の新鮮な空気が狂おしい熱を孕んだ躰を包んだ。  クリフォードがカルヴィンから離れたのだ。  ふいに広がった視界に、はじめは霞みがかったまま働かなかった頭は、けれども彼から離れたことにより次第に冷静さを取り戻してく……。  ――ああ、ぼくはなんということをしてしまったのだろう。  あろうことか、同性に――。しかもシャーリーンの命を奪ったかもしれない彼に口づけを許し、その先にさえ進もうとしていたなんて!!  カルヴィンは唇を戦慄かせ、目の前にいる男を見た。  先ほど、あんなに狂おしい口づけを交わした彼の表情からは何も感じられない。  あるのは軽蔑の表情だ。  彼は薄い唇を引き結び、不快そうに眉を潜めている。  クリフォードはいったい何に軽蔑しているのだろうか。先ほどは男に夜の相手を強要され、あんなに頑なに拒んでいたのにもかかわらず、クリフォードには自ら進んで口づけを求め、意図も容易く躰を明け渡そうとした自分にだろうか。  おそらくクリフォード・ウォルターはカルヴィンのことをこう思っているに違いない。たとえ相手が同性でも、出会いが一夜かぎりだとしても、簡単に躰を開く愚かな男娼だと――。

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