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ActⅡ Scene 3 : 闇に浮かぶ影。③

 姉の時のように、容易には事が進まないだろう。だが、それもそれで狩り甲斐があるというものだ。  まずは青年の懐に入り込んで持ち前の容姿を使って心を奪う。  警戒心が強い一般人ほど情に脆いものはない。少しでも善人ぶって近づけば、たったそれだけでこちらが用意した仕掛けに飛び込んでくれる。  そうなれば、もうこちらのものだ。ゆっくり時間をかけて自分好みの肉体へ変えてやるだけだ。  犬歯に溜まった唾液が一筋の糸になる――……。  バランはにやりと笑みを浮かべ、これからのことに思いを馳せた。  《ActⅡ Scene 3 : 闇に浮かぶ影。/完》

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