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ActⅡ Scene 4 : 試される良心。⑩
クリフォードの中心にある欲望に熱が集中していくのがわかる。スラックスを押し上げ、張り詰めた彼自身が解放しろと訴えている。
けれども今は紳士として振る舞わねばならない。クリフォードは自分を叱咤すると奥歯を噛み締め、欲望を制した。
クリフォードは腰を折り、前のめりで嘔吐くカルヴィンの背中を上下に擦って撫で続ける。
ただでさえアルコールを摂取し、その上嘔吐している彼にはとにかく水分補給が必要だ。
彼から身を離して蛇口に手を伸ばし、コップに水を注ぐ。そうしている間に目にする食料はじゃがいもばかりだ。他に何も見当たらない。
「君は日頃いったいどんな食生活をしているんだ?」
ぽつりと呟く声は、未だに嘔吐し続けているカルヴィンには聞こえていないようだ。クリフォードは眉間に深い皺が寄っているのを自分でも感じながら、ぼやいた。
薄い唇からは深いため息が飛び出す。クリフォードは首を左右に振り、水が入ったコップをカルヴィンに手渡した。
クリフォードは彼の顔色を窺うためにふたたびベッドへ腰を下ろす。けれどもそれは間違いだと気づいた時には既に遅かった。
いくらかもどしたおかげでいくらか気分が落ち着いたのか、水を含んだと思ったらクリフォードを見るなり、彼は目を閉ざし、胸板に頬を滑り込ませたではないか。
ふたたびクリフォードに身を寄せてくる始末だ。
「おいおい、勘弁してくれ……」
縋りついてくる彼の体温がクリフォードのジレを通して感じられる。
無防備な彼の姿にクリフォードは胸を詰まらせるばかりだ。こうしている今だって彼を奪いたいと欲望が渦巻いているのに手を出すことができないなんて――。
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