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ActⅡ Scene 4 : 試される良心。⑪

 彼の華奢な躰が腕の中にぴったり収まるからたまったものではない。カルヴィンの何もかもが躰にしっくりとなじむ。  まったく。こんな拷問を受けたのは百五十年という長すぎる時間を生きている中で生まれて初めての経験だ。  クリフォードはただただ天を仰いだ。  そんなクリフォードの心情を知ってか知らずか。カルヴィン・ゲリーは次の行動に出た。  悩ましげな声に熱が宿る。  胸に当てられた細い腕がクリフォードの背中へ移動し、一分の隙間もないほど自らの躰を強く押し当ててきたのだ。  何事かと彼を見下ろせば、徐々に息が上がり、心臓が大きく鼓動を繰り返している。  これはよろしくない状況だと、クリフォードは顔を(しか)めた。  いくらかもどしたおかげで媚薬はほんの少し取り除かれたものの、残りはどうやら体内に回ったらしい。  クリフォードの膝を跨ぎ、前後へ器用に躰を擦りつけながら、まるで体内に宿った熱をクリフォードに移し込むように下肢を押しつけてくる。  熱を宿った彼の部分が、クリフォードの膝の上で強調していく――……。  クリフォードは今夜でいったい何度目になるだろう呻き声を上げた。  彼はヴァンパイアさながらだ。カルヴィンは躰をくねらせ、クリフォードの鎖骨を食む。  おかげでクリフォードは、さらに増していくこの一般人種による強烈な誘惑に打ち勝たねばならなくなった。  あのが持ち出した媚薬は一度もどしただけではどうにもならないくらい、相当な効果をもたらすものらしい。

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