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ActⅡ Scene 4 : 試される良心。⑭
「あああっ――!」
とくとく、と脈打つ彼の下肢に溜まった熱は迸りとなって勢いよくクリフォードの手の中へ解放する。
どうやら彼は絶頂を迎えたらしい。
震える躰から力が抜けていく――。
色香のある喘ぎ声と荒い息が空間に溶け込み、やがて緩やかになった頃。ふたたびこの空間が静寂に包まれる。
「姉さん……姉さん……」
一度果てたおかげで安定したのだろう。クリフォードはぐったりと身を寄せる彼をベッドに寝かせた。
すると悲しみを含んだ声が聞こえた。
小刻みに震える唇はすすり泣き、目蓋によって閉ざされた目には先ほどとは違った涙が溜まっている。
青白い月光に照らされた彼の頬に紅潮は既に消えている。
涙袋から溢れ落ちる涙は悲壮感を漂わせていた。
おそらく彼は、彼女がこの世を去ってからというものこうやって夜を過ごしているに違いない。
ベッドに横たわった身体は縮こまり、強ばりを見せている。背中はいっそう丸まり、まるで哀しみの何もかもから自分を守るかのように、丸まった身体を両腕で包み込んでいる。
その彼を目にした瞬間、クリフォードの良心がいっそう痛み出した。
愛する彼の姉を助けてあげられなかった過去の自分が腹立たしい。
あの頃、もしクリフォードがバランにうち勝つことができていたならば――少なくとも彼はこんなに泣いていないし、危険を伴う探偵という職業にも就いていなかっただろう。何より、大切な姉と呼べる彼女と笑い合って幸せに暮らしていたに違いない。
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