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ActⅡ Scene 6 : 底知れない恐怖。①

 まだ日中だというのに天井では煌々と照明に照らされた虹色の光を放つシャンデリアに、細密な曲線で描かれたペーズリー柄の壁は見る人を圧倒する見事なものだ。  ここはゴドフリー公爵のお気に入りのカフェらしい。ゴドフリー公爵の突然の来店でもこうして開店し、貸し切りにしてしまうほど、彼が権威を持った人物だということがわかる。  マートに詰め寄られたカルヴィンは、思いもしなかった相手――つまりは昨夜ほんの少し会話し、ダンスを踊っただけのバラン・ド・ゴドフリー公爵に助けられ、しかも新しいブラウン色のラウンジスーツを買い与えられ、青のドレスから着替え終えてこの立派なカフェにいた。 「助けていただいたどころか、スーツまでご用意いただいてすみません。お代はきっとお返しします」  ゴドフリー公爵から与えてもらったラウンジスーツはとても高価なもので、カルヴィンの躰に馴染んでいる。 「いいんだ。ぼくが好きでしたことだ。気にしないでほしい」  心からの感謝を伝えれば、彼は薄い唇に笑みを浮かべ、続ける。  けれどもなぜだろう、どんなに親切で紳士的であっても、彼の微笑には冷たさを感じるのは――。 「それにしても、まさか昨夜踊った女性が君だったとは……」  彼は相当なショックを受けたようだ。向き合っているカルヴィンをもう一度見ると、わずかに首を振った。  なんでもゴドフリー公爵は昨夜ダンスした貴婦人がたいへん気に入ったらしい。

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