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ActⅡ Scene 8 : truth or lie ①

 "彼はヴァンパイアだ"  今朝からこの言葉ばかりがずっと頭の中で繰り返されている。  ゴドフリー公爵はクリフォード・ウォルターは危険人物であるとそう言った。  たしかに、カルヴィンもクリフォードが世間を騒がす奇妙な事件の犯人だと睨んでいる。  しかし――。  なぜだろう。  どうもゴドフリー公爵が話す内容がすんなり受け入れられないのは……。  もし、本当に彼がヴァンパイアという化け物なら、これだけ彼の身辺を探っているのだ。クリフォードにとって目障りになるだろうカルヴィンはとっくの昔に殺されていてもおかしくはないだろうか。  ゴドフリー公爵はかなりの地位をもっていて、しかも社交界では人気を誇っている。それに遣り手で情に厚いとも聞く。  対してクリフォードは――といえば、たしかにハンサムだが偏屈な性格との噂がある。しかも彼の血筋は、父親が蒸発、母親は他界。親戚の存在は皆無で知られていない。調べれば調べ上げるほどに奇妙な家系だった。  ゴドフリー公爵とクリフォードのどちらを信じるかと問われれば、品行方正でしっかりとした地位を持つゴドフリー公爵だ。  けれども信憑性を疑ってしまう。それは冷たい眼差しと、人を見下すかのような話し方にある。どうも彼の話を真に受けることができない。  ゴドフリー公爵の言うとおり、クリフォード・ウォルターがヴァンパイアで、このおぞましい連続殺人の犯人であるかどうかの真実はわからない。  とにかく、彼を張り込んで正体を見届けてやろう。そして一刻も早く白骨化の事件を解明するのだ!

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