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ActⅡ Scene 8 : truth or lie ②

 ――その日からカルヴィンは言葉通り、クラブが閉店する深夜遅くまで張り込みを開始することにした。  彼が経営するクラブは民家から孤立した小高い丘の上にある。広い庭に囲まれた大きな屋敷は堂々としていて、まるで主人そのものだ。  カルヴィンは屋敷の前にある緑に染まった植木の中に身を潜め、クリフォード・ウォルターが動くのをただひたすら待った。  夜が深くなる頃、黒や赤といった色とりどりの礼服を着こなした紳士たちが続々と現れ、木陰に身を潜めているカルヴィンを横切って店内へと消えていく。  群れの最後だろう列が途切れると、タイミングを見計らって壁際へ移った。窓越しからそっと店内を窺う。  客は今流行りのラウンジスーツを着こなしたカルヴィンと同世代の若者から、背の高いシルクハットにフラックコートを着た年配の紳士まで様々な年齢層だ。皆、それぞれが清潔そうな容姿をしている。見るからに上流階級の集まりであることはひと目見てすぐにわかった。  カルヴィンは窓越しから目を凝らして目的の人物を探す。  ――いた。クリフォードだ。  様々な紳士がいる中、一際視線を集める紳士がいた。  ああ、いつ見ても彼はハンサムだ。  ジレやジャケット、スラックス。今夜、彼が着ているスーツはダークネイビー色に揃えられている。艶やかな漆黒の髪とは正反対の象牙色の肌はまるで輝いているようにも見える。研ぎ澄まされた青の目は輝くシャンデリアに反射して夜空に散りばめられた星々のようだ。

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