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ActⅡ Scene 8 : truth or lie ④
カルヴィンは身震いした。
今にも降り出しそうな気配だ。こうしている今でも寒いのに雨が降ればさらに寒さが増す。
それに、張り込みをしている最中では傘さえもさせない。びしょ濡れも覚悟しなければならないなんて、なんというタイミングの良さだろう。
今夜、カルヴィンの防寒はきちんとしている。
――はずなのに、いつにも況してずっと寒い。
凍えるような冷たい風が容赦なく吹き抜けていく。
果たして静寂とはこれほどまで耳障りなものだっただろうか。
ああ、頭が痛い。割れそうだ。
ぶるりと身震いする躰からは寒気が引かない。
そういえば今朝から今の今まで、ずっと震えが止まっていない気がする……。
寒さで噛み締めた歯はかちかちと音を鳴らす。
すると間もなくして絹のような細い雨が音もなく落ちてきた。
ああ、雨が降ってきた。
どうにかこれ以上雨がひどくならないようにとカルヴィンは大きく震える躰に両腕を回し、天に願った。
《ActⅡ Scene 8 : truth or lie/完》
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