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Act Ⅱ Scene 9 : have an interest ⑦
苦しんでいるカルヴィンを見過ごすわけにはいかない。
「っひ、っひ……」
「泣かなくとも良い。ラヴ、時期によくなるから……」
すすり泣きをはじめるカルヴィンの頭をそっと撫でて宥めてやる。
するとカルヴィンの指がクリフォードのシャツを掴んだ。握り締めるその力は病人とは思えないほど強い。
たすけて。
悲痛な叫びを聞いた気がしたクリフォードは目を閉じ、決意すると自らの口を魅惑的な唇から顎のラインへとゆっくりと滑らせる。
喉元を通り、細い首筋へと移動する。
頚動脈がとくとくと、短い音を奏でている。
そこに舌を這わせ、舐めれば、カルヴィンは意識はなくとも本能では今からクリフォードに何をされるのかを知っているのだろうか。両腕を後頭部へと回し、さらに身を寄せた。
彼の肌から薫るミルクの匂いが鼻孔をくすぐる。
鼻にかかる甘ったるい声もまた、クリフォードの耳孔を刺激した。
口の両端にある鋭く尖った犬歯を舌で濡らし、柔らかな首筋に沈めていく……。
彼の体内に浸食していた血液をゆっくりと吸い上げる。
「あ、っひ……あああっ!」
カルヴィンは嬌声を上げ、身を捩る。先ほど放ったばかりの蜜をふたたび解放する。
ヴァンパイアの唾液には肌を突き刺す痛みを緩和させる力がある。
それに加えて吸血の行為は情を交わす行為と同じだった。なにせ自分たち特異種には子孫を繁栄させる力は無い。
あるとすれば、一族を増やすことのみだ。
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