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Act Ⅱ Scene 9 : have an interest ⑧
そしてヴァンパイアに至っては、血液を吸う行為こそ、一般人種で言うなれば情を交わす行為と同等のものになる。
特異種 に吸血されているカルヴィンは今、より強いエクスタシーを感じているに違いない。
熱に浮かされた躰を弓なりに反らし、それでも両腕はクリフォードの首に強く巻き付いたまま離さない。
両足をクリフォードの腰に巻きつける。その姿も美しいとクリフォードは思った。
彼の欲望が一気に弾けたのを確認すると、首筋から静かに牙を抜き取った。
今度こそ、華奢な躰がベッドに深く沈み込む。
浅かった呼吸も深くなり、長い睫毛がヴェールとなって翡翠の目を塞いでいる。
どうやら成功したらしい。
正直、血液の味なんてわからない。
クリフォードが懸念していた事態にはならなかった。
躰は飢えているはずなのにそれ以上に彼の躰が気になって、自我を忘れるどころではなかった。
そっと躰を離せば、カルヴィンはぐったりと横たわり、死んだように眠っている。
媚薬は抜き取ったし、風邪のウィルスも同様に体内から取り除いた。
時期に熱も下がるだろう。
新たな布を取り出し、自らの蜜で濡れた躰を綺麗に拭ってやると、ブランケットで包み込んでやる。
「……おやすみ」
そっと額に布を置き、もう一度彼の頭を撫でると寝室を出た。
けれどもクリフォードの仕事は終わらない。
やれやれ、今夜は長い夜になりそうだ。
クリフォードが向かう先は調理場だ。
彼が目覚めた時に口にしてもらう、うんと健康にいい食事を作るために――。
まさかヴァンパイアになってからも一般人種向けの料理をする羽目になるとは。
「……まったく」
クリフォードはひと言ぼやき、小さく頭を振ると一階にある調理室に向かった。
《ActⅡ Scene 9:have an interest /完》
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