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Act Ⅲ Scene 1 : fallen angel ⑨

 甘く香ばしい匂いを嗅ぐや否や、突然、カルヴィンの腹の虫がぐるぐると癇癪を起こした。  そこでカルヴィンは、昨晩から今の今まで何も口にしていなかったことに今さらながらに気が付いた。  メイドによってナイトテーブルに置かれたのはあたたかなスープだ。中には雛豆と、それから屋敷内で採れた野菜だろうか。にんじんや玉ねぎ、じゃがいもが食べやすいように細かく刻まれていた。 「ぼくはティム。ティム・コナ―だ。知っているかもしれないが、ここの支配人をしている。君は――」 「カルヴィンです。カルヴィン・ゲリー。どうぞカルヴィンと呼んで下さい」 「ではカルヴィン。それを食べ終えたら少し付き合ってくれるかな?」  メイドが一礼して部屋から出て行くと、ティムはカルヴィンに尋ねた。 「――はい」  ティムの申し出を断らなかったのは、彼が|今の時間帯《日中》に起きていることから考えてヴァンパイアではなく、人間だと思ったのと、もしかするとクリフォードという男を知れるかもしれないと思ったからだ。クリフォードを知るには屋敷の住人から話を聞くのが一番手っ取り早い。 「よかった。では食べ終えたらこの呼び鈴を鳴らしてくれ。すぐに来るから」  ティムはひとつ微笑むと部屋を出た。  スープは本当に美味しいものだった。

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