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Act Ⅲ Scene 2 : a culprit ③

「ゴドフリー公爵にお会いした後、あれからクリフォードを張っていましたがなかなか動きません」  メイドや料理長は楽しそうに仕事をしているし、支配人のティムにしてもクリフォードにしても初めに抱いたカルヴィンの印象をことごとく裏返してくる。  カルヴィンが倒れた時だって料理さえも作り、病み上がりの時も夜通し看病してくれたのだ。  果たして殺人を犯した犯人が自分ではない他者のために料理を振る舞えるだろうか。  彼に尋ねるため、口を開くものの――。  けれどもなぜだろう。  ゴドフリー公爵に話してはならないような気がした。  まるで重い鉛を唇にくっつけたみたいだ。肝心な内容を告げられず、それっきり口を閉ざしてしまう。  初対面の時もそうだったが、ゴドフリー公爵と対面しているだけで肩が強ばり、顎に余計な力が入るのを感じる。  カルヴィンは歯を噛み締めるたび、音を出さないよう気を付けながら話すので精一杯だ。 「いったい奴の屋敷で何を見たんだ? いいかい、カルヴィン。奴は相当恐ろしい悪魔だ。人を欺くことなんて造作もないだろう。ああ、君はとても優しいからね。その優しさにつけ込んだのかもしれない。すべては罠だ」  ゴドフリー公爵は何度か小さく首を振り、カルヴィンと向き合った。  彼の漆黒の目はカルヴィンを捉えている。威圧的な視線だとカルヴィンは思った。  なぜだろう。同じように鋭い視線を持つクリフォードに恐怖を感じなかったのは――

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