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Act Ⅲ Scene 4 : ambush ①

『わたしがそれとなく誘い出して話しをしてみよう。そうすれば彼の正体の何もかもがはっきりするだろう』  バラン・ド・ゴドフリー公爵は顔色ひとつ変えることなく、まるで事務作業をこなすかのように淡々とそう告げた。  この一件、果たして自分が手を引いてどうなるのだろう。ゴドフリー公爵は本当にクリフォードと話しをするつもりなのだろうか。  真相はわからないが、ゴドフリー公爵は少なくともクリフォードがヴァンパイアであるということに確信を持っている。疑いはない。――ともすれば、ヴァンパイア相手に話し合いをするだろうか。  いや、疑問はそれだけではない。本当にクリフォード・ウォルターは血も涙もないヴァンパイアなのだろうか。  クリフォードが経営する賭博クラブで働く”The crazy”の支配人であるティムの証言が正しいなら、風邪をひいてしまったカルヴィンの躰を労り、食事も栄養のあるものばかり食べさせてくれた。息を引き取った姉のシャーリーンを看取り、百合の花を供えてくれた。  それに……昨夜だってカルヴィンが寝付くまでずっと付き添ってくれていたのだ。  クリフォード・ウォルター伯爵は態度や表情こそそっけなく見えるものの、仕草は優しく、どんな紳士よりも紳士らしいのではないのか。  もし、ゴドフリー公爵が動くとすれば、おそらくは深夜だろう。真相はわかり兼ねるが、クリフォードがヴァンパイアならば太陽を嫌うはずだ。闇が蠢く時間帯と相場は決まっている。

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