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Act Ⅲ Scene 4 : ambush ⑤
彼はよほど急いでいるのか、片方にしかつけていない手袋をもう片方も歩きながら身に着けている様子もとてもセクシーだ。闇夜に紛れる色で颯爽と歩いて行く。彼の後をカルヴィンが追っているのも知らずに……。
クリフォードの歩く速度はカルヴィンよりも少し速い。おかげでこちらの気配を気取られる心配はないが、置いて行かれないように付いていくのがやっとだ。
歩けば歩くほどに街から外れていく……。
深夜を回った時間帯だけに人が歩く姿はない。もはや地面は舗装されておらず、剥き出しの状態だ。足場が悪い。外灯もなく、頼れるのは上空にある点々と煌めく星々と月明かりのみだ。
数時間前まで雨が降っていたのか、地面がぬかるんでいる。道理で寒いはずだ。冬の雨で冷え切った空気が大気を覆っているおかげでよりいっそう寒さが増す。
視界が悪い中、吐く息の白ささえ見えないまま小一時間ほど歩いていると、誰も使っていないだろう古びた墓地に出会した。フクロウの鳴き声の中から狼の遠吠えがどこかしら聞こえてくる。
薄気味悪い雰囲気の中、クリフォードはそれでも歩く速度を緩めない。すっかりオカルト的な空気に飲み込まれたカルヴィンは口の中に溜まった唾をごくりと飲み込むと荒れ果てた地を突っ切る。すると湖のほとりに面したあたりにひっそりと佇む礼拝堂が見えてきた。
近づけば意外と大きい。それだけに、今にも幽霊が出てきそうな雰囲気だ。
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