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Act Ⅲ Scene 4 : ambush ⑨

 クリフォードは呻りながらも今も尚、肩口を貫く悪魔の刃を掴むと宙へ放り投げる。懐からナイフを取り出し、まるでダーツをするかのように素早く投げ放ち、見事心臓を貫いた。  悪魔は悲鳴さえも上げる暇なく滅び去る。  強靱な肉体が崩れ落ちていく。カルヴィンは慌てて倒れそうになるクリフォードの肩を支えた。 「カルヴィン、なぜ君がここにいる。バラン、貴様が呼んだのか……」  軽快な足音が近づいてきたかと思えばほんの数メートルの所で彼は立ち止まった。  月の光が彼の頭上から降り注ぎ、青白い顔を照らす。  その姿は死者のようだとカルヴィンは思った。  悪魔から受けた傷が致命傷だったのか、荒い呼吸を繰り返しながらゴドフリーを見上げる表情は固い。 「おや。見知った顔があると思えばカルヴィン・ゲリーじゃないか」  クリフォードの躰を支えるカルヴィンに、紳士の仮面を被った悪魔(サタン)が口を開いた。  カルヴィンは、目の前にいるゴドフリーを見据えた。 「なぜ……。クリフォードがシャーリーンの命を奪った犯人なのではないんですか!」  訊ねるカルヴィンに、月の光を浴びているゴドフリーは薄闇の中で冷徹な笑みを浮かべた。目を見開く彼の目はまるで真っ暗な井戸の中を覗くようにぎょろりとこちらを見ている。その目には一点の輝きさえもない。 「時にはお転婆は可愛いものだが、わたしはクリフォードからは手を引けと、君に忠告をしておいたはずだが?」  ゴドフリーはカルヴィンの質問には答えず、責めるような口調で話した。

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