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Act Ⅲ Scene 4 : ambush ⑩

「質問に答えろ! シャーリーンを殺したのはお前なのか!?」  カルヴィンは傷を負ったクリフォードを支えながらゴドフリーを睨む。  すると彼はにやりと嫌な笑みを浮かべ、鼻息荒くまくし立てるカルヴィンに対して楽し気に口を開いた。 「シャーリーン、ああ、彼女はたしかそんな名前だったか。あれは最高に上手い血液だったよ」  ゴドフリーは当初のことを思い出しているらしい、目を閉ざしうっとりと悦に浸っていた。  彼の言葉に絶句したのはもちろんカルヴィンだ。  カルヴィンは思い違いをしていた浅はかな自分を責めた。  てっきり、貴族たちから蔑まれ、”CURSED BLOOD(呪われた血族)”と噂されていたクリフォードを犯人だと決め込んでいたのだ。しかし、貴族たちから持てはやされ、有名なゴドフリーこそがカルヴィンが討つべき仇の相手だといったい誰が想像できるだろう。  シャーリーンの仇であるゴドフリーの手の上で踊らされていた自分が悔しくてたまらない。強く唇を噛みしめた。 「そうだ。君の姉の命を奪ったのはクリフォードではない。わたしだよ。わたしこそが淫魔のヴァンパイアだ。そして君の的になったこそが政府に雇われたヴァンパイアハンターだ」  カルヴィンは息を飲んだ。  ――ああ、なんということだろう。  強い頭痛と吐き気でどうにかなりそうだ。  目眩がする。  混乱するカルヴィンを前にして、ゴドフリーはさらに口を開いた。

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