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Act Ⅲ Scene 4 : ambush ⑭
ゴドフリーが平然と答えていることからして、おそらくカルヴィンはまだヴァンパイアになっていないのだろう。なんたってゴドフリーはカルヴィンを永遠の食料にすることを目論んでいる。
――つまりは一生涯をゴドフリーの側で奴隷として過ごすことになる。いくら奴隷とはいえ、プライドの高いゴドフリーが他人が手を付けたものを側に置くとは思えないからだ。
「言い訳はしない。奴が言ったとおり、君から血液をいただいた」
クリフォードは振り向きもせず、未だゴドフリーと向き合ったまま静かにそう口にした。
「――たしかに、吸血痕は厄介だが痕くらいなら時期に消える。いくら逃げようと無駄なこと。なにせわたしには永遠という時間がたっぷりあるのだから」
勝ち誇ったかのように話すゴドフリーから焦りは感じられない。カルヴィンを見据えたまま、にやりと笑みを浮かべる。
「お前の思うとおりにはさせない」
「九年前と同じ死に損ないに何ができる? 淫魔のヴァンパイアがどれほど強力な力を持っているのか、もう君にも理解できているはずだろう?」
クリフォードの言葉にゴドフリーは鼻で笑った。
「カルヴィン、おれが足止めしている間に逃げろ」
クリフォードは奥歯を噛みしめ、低い声でカルヴィンを促す。
けれども、カルヴィンはもううんざりだった。
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