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Act Ⅲ Scene 4 : ambush ⑱
はっとして顔を上げれば、すぐそこには明るいランプの炎と、それからクリフォードが経営する賭博クラブの支配人、ティムがいた。
“一時間のうちに戻らなければ迎えに行く”
たしかクリフォードが屋敷から出る際、ティムはそう言っていた。
約束の時間までまだ少し早いが、おそらくはクリフォードが心配で駆けつけてくれたのだろう。
ランプに照らされたクリフォードの顔を見れば、うっすらと開かれている目は虚ろで顔色は青白く唇も紫色へと変色している。彼の体内ではますます毒が広がりはじめている証拠だ。
「ティム、助けて……クリフォードが!」
「おや、カルヴィンも一緒だったのか」
「クリフォードがぼくに代わって傷を受けたんだ。毒刃を浴びて……傷口が深すぎて……血が、血が止まらなくて……」
「わかった。近くに馬車を停めてある。とにかく休める場所に行こう」
ひどく狼狽しているカルヴィンに頷きかけると、ティムはクリフォードの腕を肩にかけた。
《Act Ⅲ Scene 4 : ambush /完》
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