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Act Ⅲ Scene 6 : 美しいひと。 ②

 仮にもし、あのまま死んでしまったとしても、カルヴィンはクリフォードを責めるつもりはなかった。  ティムの言いつけを守らなかった自分が悪いのだ。今考えれば恐ろしいことをしでかしたと思う。その反面、けれどもカルヴィンは、けっしてクリフォードがカルヴィンの体内から血液がなくなるまで奪わないだろうという確信めいたものを感じていた。  なぜだろう。クリフォードはゴドフリーのような利己的な殺人鬼なのではないと思ったのだ。  そしてそれは間違いではなかった。このことが何より誇らしかった。  それにしても目の前にいるこの男性はなんて美しいのだろう。  長い睫毛にすっと通った鼻筋に薄い唇。艶やかな黒髪。オリーブ畑のようなしっとりとした肌に凛々しい肉体。  まるで名だたる巨匠が描いた彫刻作品のようではないか。  カルヴィンは目の前で眠っているクリフォードに釘付けになっていた。  自らの首筋に付いた吸血痕に触れた指で目の前にある少し開いている薄い唇を確かめるようになぞる。それからゆっくり喉仏を滑り落ち、鎖骨から胸板に触れる。しっとりとした肌触りだが、カルヴィンにはない強靱な筋肉は弾力がある。  あまりの触り心地の良さにカルヴィンはほうっとため息をついた。  いったいどれくらいの間、自分は目の前の男性に見惚れていただろう。  目の前の瞼がふいに震えたかと思えば青の目が長い睫毛から覗かせる。

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