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Act Ⅲ Scene 7 : だから、貴方のせいじゃないですってば! ⑫
やはりクリフォード・ウォルターは誰よりも優しい紳士だ。
実感すれば、胸が震える。目頭が熱い。
子供たちからのお礼の手紙を胸に抱き、唇を噛みしめる。
「何をしている!」
唐突に張りのある低い声が聞こえてはっとした。
反射的に振り向けば、クリフォードがいるではないか。
しかも自分とは違い、布を巻いているだけの格好で、だ。
濡れた髪は艶やかで張りがある。右の肩口にはカルヴィンを庇った時の傷痕が見える。傷は心臓に向かって伸びているものの、遠い過去に受けた古傷のようだ。
オリーブ色の瑞々しい肉体はやはり雄々しい。
手から離れた手紙の数々が静かに落ちる。それとほぼ同時にカルヴィンの腰がベッドから浮いた。ハンサムなクリフォードに引き寄せられるかのように手を伸ばし、彼の傷痕をそっとなぞった。
躰は熱を持っている。けれどももう隠そうとは思わなかった。潤んだ目をそのままに彼を見る。
カルヴィンは情熱の炎が青の目に宿っていたのを見逃さなかった。
もう自分の気持ちを誤魔化せない。クリフォード・ウォルターが何者でも構わない。
思い返せばひと目見た時から彼の虜だった。研ぎ澄まされた青い目に惹かれ、組み敷かれた時だって拒もうとすればできたものを、容易に口づけを受け入れたことも――。
身を挺してゴドフリーの手から守ろうとしてくれた姿も――。
なにより、クリフォードの腕に包まれていると、どこよりも安心している自分がいた。
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