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Act Ⅲ Scene 8 : 焦がれる熱。 ①
驚いたカルヴィンは小さな悲鳴を上げた。
「何をっ!」
ふいに横抱きにされたカルヴィンは狼狽える。
「君を抱く」
彼は静かに口を開いた。
その声はとても低く、嗄れている。
だからカルヴィンははじめ、クリフォードが何を言っているのかがわからなかった。視線を上げて顔色を確認する。するとどうだろう。カルヴィンが惹かれて止まない青の目は濃い紫へと変化していた。この目が何を示すのか、カルヴィンには容易に判断できた。だってそれはカルヴィンも同じだったから――。
この目は貪欲にもカルヴィンを求める目だ。
クリフォードもカルヴィン同様に欲望を剥き出しにしている。そう思えばカルヴィンの胸が高鳴りをおぼえる。
クリフォードによって華奢な躰がベッドに沈み込む。そうかと思えばすぐに薄い唇が口を塞いだ。
彼の舌が閉ざした口をノックする。カルヴィンはくぐもった声を放ちながら自ら口を開いた。そうなればふたりの口づけはいっそう深くなる。このキスだけでも容易にカルヴィンを追い詰めていく……。
クリフォードの口づけは巧みだ。彼の舌は我が物顔でカルヴィンの口内を蹂躙する。下顎から歯列を通って上顎をなぞり、舌に触れればカルヴィンの躰に微々たる電流が走った。
カルヴィンも負けじとクリフォードの舌に絡め、ふたりは互いに口角を変えてより深い口づけを求めた。ねっとりとした熱を貪る。
もっとクリフォードの熱を感じたい。飲み込む暇もない唾液が唇の端を伝って一筋の線を作る。
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