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Act Ⅲ Scene 8 : 焦がれる熱。 ⑤
どうやらカルヴィンの欲望はクリフォードが触れる前から濡れていたらしい。蜜を纏った欲望のねっとりとした感触がカルヴィンにも伝わっている。彼の指が動くたびに卑猥な水音が耳にさわる。
「君は美しい」
耳元で、そっと囁く声は色香を含んでいる。カルヴィンはクリフォードと同性だ。女性のように扱われるのは心外なはずなのに、特別扱いを受けているようで嬉しい。カルヴィンは彼の頬をそっと撫でてから薄い唇に口づけた。
深い口づけと相俟って、欲望に触れる手が速度を増していく。クリフォードが指を動かすたびに水音が弾き出される。彼の動きにカルヴィンは短い嬌声で応えた。
クリフォードはやはりこういった行為に慣れているらしい。彼の巧みな動きによってカルヴィンは上り詰めていく。
クリフォードによってもたらされる甘美なひとときはカルヴィンを惑わせる。両親に続いてシャーリーンも後を追うようにこの世を去ったカルヴィンは、あまりにも心に余裕がなかった。だから自慰さえもあまりしたことがない。そんなカルヴィンにとって、この行為はあまりにも強烈だった。このままでは時期に達してしまう。
けれども欲しいのはこれではない。クリフォードに求められているという、たしかな証しが欲しかった。カルヴィンは啜り泣き、いやいやをしながらクリフォードに懇願する。
するとクリフォードも限界を感じたのか、カルヴィンの臀部に指を走らせた。
指の一本がすぐ後ろにある秘部に侵入する。カルヴィンの欲望に触れた指は蜜を纏っていたのだろう。濡れた水音が聞こえた。
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