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Act Ⅲ Scene 8 : 焦がれる熱。 ③

 そこはただの飾りにすぎない。カルヴィンには何ということもない、男にとって意味の為さない箇所だ。けれどもクリフォードに触れられればどうだろう。蕾は息を吹き返したかのようにたちまち熱を持ち、ツンと尖って強調しはじめる。  指の腹を使って両の蕾をクリクリと円を描いて転がしはじめると、カルヴィンの下肢目掛けて熱が集まっていく……。 「触れるたびに赤く色づく。可愛いな、君の蕾はこんなに従順なのか」  クリフォードの口の端がつり上がっている。  彼の言葉を合図に自分の蕾を見たのがいけなかった。たしかに、胸の蕾は大きく膨れて悦んでいるようだ。もっと触ってとさらに強調し、指の腹で転がされる様は卑猥だ。二十四年にもわたってすっかり見慣れていたと思っていた自分の躰は、けれどもクリフォードの前だとずっと淫らに見えてしまう。 「やっ、言わないで……」  意地の悪いことを言ってのけるクリフォードの言葉によってカルヴィンの羞恥が増す。のぼせてしまいそうなほどの熱が頬に宿り、翡翠の目は羞恥と快楽の涙で潤みきっていた。  あまりの恥ずかしさに首を振る。  けれどもカルヴィンは知らない。その姿こそが彼を煽っているという事実を――。  蕾のひとつが薄い唇に含まれた時、カルヴィンは呼吸することさえも忘れ、息を詰まらせた。  初めてもたらされる甘美なひとときはカルヴィンを高揚させる。  甘噛みされ、あるいは吸われれば、さらに甘い声が上がる。ふたつの蕾を愛撫されたおかげでしっとりと濡れている。その姿はまるで朝露に濡れた薔薇のようではないか。

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