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Act Ⅲ Scene 8 : 焦がれる熱。 ⑦
――なんと愛らしいのだろう。クリフォードは目を細め、戸惑いながらも快楽に染まる青年をうっとりと見つめた。早く自分の楔で貫きたいという衝動が駆ける中、それでも我慢強く内壁を解したのは他でもない、カルヴィンにとってこの行為が初めてだからだ。
クリフォードはできるだけ自分の募る欲望を押し留め、カルヴィンを悦ばせることに集中した。
それなのに、カルヴィンはクリフォードがどんなに我慢しているのかを少しも理解していない。彼はいやいやを繰り返し、クリフォードの名を呼びながら早く抱いてとすすり泣く始末だ。
クリフォードの背に回った両腕に力が入っている。
内壁の中にある指が二本になり、解れたのを確認する。けっして充分ではないが、クリフォードも限界だった。クリフォードは小さな声で己を罵ると、自らの楔で秘部を貫いた。
中はやはりまだ解し足りていない。締め付けが強い中、それでも必死にクリフォードを飲み込もうと、彼なりに臀部へ力を込めたり深い呼吸で整えたりを繰り返していた。
楔を飲み込もうとするそこはかつてないほど相当苦しいはずなのに、苦言のひとつもこぼさず、クリフォードを受け入れようと必死だ。その姿さえもいじらしい。
クリフォードはできるだけカルヴィンに負担をかけないよう、様子を見ながら動く。そしてとうとう楔の先端が先ほど指で感じた箇所に触れた。
カルヴィンから甘い声が漏れる。クリフォードはカルヴィンの変化を見逃さなかった。初めは静かにゆっくり、そして徐々に速度を上げて執拗にそこを攻める。
よほどの熱を感じているのか、後ろに回ったカルヴィンの腕がクリフォードを離さない。突き立てた爪がクリフォードの背中に突き立てる。カルヴィンによって与えられた僅かな痛みは甘い疼きとなってクリフォードを煽る。
攻めているのはクリフォードのはずなのに、カルヴィンの仕草すべてがクリフォードを煽るからたまらない。
クリフォードはカルヴィンの腰を持ち上げるとより最奥を目指して楔を打ち付ける。
翡翠の目から溢れる快楽の涙は目尻を通って頬を滑り落ちた。華奢な躰が大きく反れる。ありったけの蜜を吐き出し、彼は果てた。
けれどもクリフォードはまだ達していない。カルヴィンの呼吸が落ち着いたのを見計らい、さらに深い抽挿で激しい律動を繰り返す。カルヴィンの内壁をたっぷり味わうように、何度も楔を穿つ。そのたびに弾き出る水音はクリフォードのものだ。
視界に火花が散る。カルヴィンは何も考えられないまま、ただクリフォードという大海原の中で溺れた。
《Act Ⅲ Scene 8 : 焦がれる熱。/完》
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