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Act Ⅲ Scene 10 : 同じ気持ち? ④
両足を彼のたくましい躰に巻きつけ、より密接になるよう体勢を変えると薄い唇に自らの口を押しつけた。嘗てはクリフォードがしていたキスのように自ら舌を差し出し、薄い唇をノックする。口を大きく開け、見事クリフォードの口内に侵入を果たした。
しっとりとした口内は濡れていて気持ちがいい。カルヴィンは夢中になってクリフォードの舌を味わう。セクシーなオークモスの香りが鼻につき、カルヴィンを惑わす。心臓に送り届けられる血液が大きく脈打っているのがわかる。自分が放つ甘い声の合間に聞こえる水音がより昂ぶらせる。
もっとクリフォードを味わいたくて口角を変え、彼の後頭部に腕を回す。昂ぶる欲望を自らクリフォードの躰に擦りつけてしまうのは仕方がないことだ。なにせ、自分はもっとも経験のあるハンサムな紳士を誘惑しなければいけないのだから……。
カルヴィンが彼を求め、誘惑する中、クリフォードもこの口づけが気に入ったのか、ふたり重ねた口の奥から獣の呻るような声が発せられた。カルヴィンから仕掛けた口づけはやがてクリフォードのものへと変わる。
ベッドのスプリングが軋むのと同時にカルヴィンの体位が仰向けになる。
クリフォードの舌の動きは完璧だ。カルヴィンの口内をなぞり、舌を絡め取ってしまう。いっそう深い口づけで熱い吐息が重なった。
カルヴィンも負けじと夢中になってクリフォードの唇を貪る。
深い口づけはやがて啄むような口づけに変わると顎を通って首筋へと落ちていく。カルヴィンのあらゆる箇所に口づけが降ってくる。けれどもクリフォードはカルヴィンの口を解放することはなかった。
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