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Act Ⅲ Scene 12 : 気勢。②

 カルヴィンは何度も瞬きを繰り返し、ようやく視界に慣れた頃、気怠い躰を起こした。目の前で口論する二人の様子を見つめる。  するとクリフォードの激しい口調は消え、彼と目が合った。  突然生まれた沈黙の中、カルヴィンは口内に溜まった唾を飲み込んだ。  本来ならば静寂にも似た美しい洗礼された青が見えるはずなのに、今の彼はどうだろう。目の奥に深い闇が見える。  焦りにも似た恐怖が見え隠れしている気がして、カルヴィンははっとした。  そしてカルヴィンが口を開けば――。  クリフォードはカルヴィンの話を訊く気もないようだ。彼は黒い霧になってたちまち姿を消した。  いったい何が起きたのだろう。  まるで理解できない頭では、ただクリフォードが去ったという喪失感しか残らない。 「クリフォード! ティム、クリフォードはどうしたっていうの?」  カルヴィンがクリフォードを想うように、クリフォードもまたカルヴィンを想ってくれている。自分と同じ気持ちだと思っていた矢先のこの出来事は、カルヴィンに焦燥感を与えた。  後に残されたカルヴィンはティムに噛み付くように訊ねた。  急がないと彼がどこかへ行ってしまうような気がしてならない。  立ち上がり、クリフォードを追いかけたいのに疲労している躰は言うことを聞いてくれない。その焦りがまたカルヴィンをさらに深い悲しみへと誘う。  心臓が大きく鼓動し、血液を送るための脈が速くなっている。  カルヴィンは唇を強く噛みしめた。

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