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Act Ⅲ Scene 12 : 気勢。③

「クリフォードのことをどう思う?」  しかし、ティムの方はといえば――。  彼は穏やかな視線をカルヴィンに向けたままだった。そしてカルヴィンが訊ねた問いとはまったく関係のない質問が繰り出された。  返事をしなければティムはカルヴィンの問いには答えないつもりだろう。だからカルヴィンは焦りを必死に抑えて話す。 「優しく思いやりに溢れた男性だと思います」  シーツを握る手に力が入る。  何もできない自分に腹が立ってしょうがない。  そんなカルヴィンを余所に、ティムは続ける。 「彼が気に入った?」  なぜ、この会話が必要なのだろう。  だってカルヴィンはクリフォードがいなくなって取り乱している。誰がどう見たってカルヴィンがクリフォードに想いを寄せていることくらいわかりそうなものだ。  それに……カルヴィンの寝間着は乱れている。肩までずれたシャツは胸元まで開いていて、日焼け知らずの貧弱な肌にはクリフォードがつけた愛撫の痕が無数に散っている。ティムはカルヴィンよりもずっと年上だしハンサムだ。きっと誰かをベッドに誘った経験もあるだろう。今のカルヴィンをひと目見ればクリフォードに抱かれたことくらい想像がつくはずだ。 (ぼくはクリフォードに抱かれたんだ……)  一夜に一度ならず二度も彼を求めて――。  一夜の出来事を思い出せばカルヴィンの躰に再び熱が宿る。  それなのに……。  彼は自分と目を合わせるなり、無言でどこかへ行ってしまった。

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