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Act Ⅲ Scene 12 : 気勢。④

 やはり愛されていると思ったのは勘違いで、クリフォードにとってカルヴィンはただの性欲処理の相手だったのだろうか。  ゴドフリーのように、彼もまた自分をただの愛玩具のように扱うつもりだったのだろうか。  自分ばかりが彼を想っているだけだったのだろうか。  瞼が熱い。  翡翠の目に涙が滲む。  例え自分から彼を誘ったのだとしても、クリフォードに激しく求められ、抱かれた後だ。虚しさが余計に増す。  自分の気持ちばかりが先走ってしまって独りよがりな感情だと知れば胸が苦しい。  息ができない。  悲しみに染まってしまったカルヴィンにはティムの問いかけに答える気持ちにはなれなかった。 「クリフォードはどこに行ったの?」  声は震えて言葉に詰まる。  手に入らないものを強請る子供のように同じ言葉を繰り返す。  もぬけの殻になったそこには主人の姿はない。  今度は誰に訊ねるわけでもなかった。カルヴィンはクリフォードがいただろう空間をただ歪んだ視界で見つめながら呟いた。 「おそらく、決着を付けるために……」  そして今度こそ、ティムはカルヴィンの問いに答える気になったらしい。彼は重い口を開いた。 「一週間後、彼の屋敷で盛大なパーティーが開かれる。特に招待状は用意されていないらしく、爵位を持つ者なら誰でも入ることが可能らしい。どうやらバランは君に照準を合わせたようだ」 「ぼくを誘き出すためのパーティーっていうこと?」 「ああ、そういうことだ」

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