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Act Ⅳ Scene 1 : 最後の決着をこの場所で。②

 だからカルヴィンはティアボルト伯邸の社交界に参加した時と同じように女性の姿をして向かおうと決意した。  カルヴィンは今、赤いドレスに身を包んでいる。ドレスは首に固定するタイプで前を覆っている。ただし、柔らかな生地は両肩と背中を隠していない。日焼け知らずの白い肌は腰まで開いていた。せっかく女性に扮装するのなら、クリフォードを誘惑したみてもいいかもしれない。おかしな感情がカルヴィンの心の中に渦巻いていた。  バランに正体を見破られれば殺される恐れがある。今夜かぎりの命かも知れないというのに、しかしおかしなことにカルヴィンは胸を押し潰されるほどの恐怖を感じていなかった。それというのも、愛おしい彼に会えるかもしれないからだ。  今夜、二度目になるゲームをクリフォードに仕掛けるつもりだった。そして彼を誘惑してやりたい。そしてあわよくば彼をベッドに誘い込み――自分はカルヴィン・ゲリーだと打ち明ける。彼はきっと驚くだろう。そして顔を真っ赤にしてよくも騙したなとカルヴィンを罵るかもしれない――。  そこまで想像力を膨らませた後、カルヴィンは自分の考えを打ち消すために固く目を瞑り、大きく首を振った。それからふたたび目を開けて等身大の鏡を覗き込む。  カルヴィンの地毛と同じ金色の長い髪が両サイドのみを残して波打ち、頭上でゆるく巻かれている。ドレスのあらゆる部分にふんだんに取り付けられたレースはカルヴィンが動く度に揺れる。

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