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Act Ⅳ Scene 1 : 最後の決着をこの場所で。⑰

 カルヴィンの口内に唾が溜まる。口の中に溜まった唾をひとつ飲み込むと、できるだけ身を低くした。息を潜め、自分の存在を悟られないよう努めた。緊張と恐怖で全身の毛穴から脂汗がどっと溢れ出る。湿った両腕が、ドールを強く抱きしめた。膝は大きく震え戦慄(わなな)いている。カルヴィンは今、自分が立っているのかそれとも腰を抜かしているのかすらわからなくなっていた。荒くなる呼吸を押し殺し、現状を堪えるしかできなかった。  まさか人目があるとは思ってもいない二人はより大胆になる。彼の大きな口が彼女が発した甘い声ごとふっくらとした赤い唇を塞いだ。やがて彼の唇は彼女の口元を離れ、首筋へと移動する。彼女はもたらされる官能に仰け反り、よりいっそう艶やかな声を上げた。そこでカルヴィンは女性の異変に気が付いた。注目したのは彼女の両手だ。若く瑞々しい手は老婆のように皺だらけになり、やがて骨と皮のみに変化していく。そうやって彼はシャーリーンも手にかけたのだ。 《Scene 1 : 最後の決着をこの場所で。/完》

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