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Act Ⅳ Scene 2 : decisive battle ⑨
クリフォードは声を上げて泣いているカルヴィンを抱き寄せ、力強く包み込んだ。カルヴィンはおそらく、姉の仇を討てたこと。クリフォードを守れたことで、九年もの長い間にぴんと張り詰め続けていた緊張の糸が切れたのだろうと思った。
「大丈夫、大丈夫だよ、すべて終わったんだ。だからもう泣かないでくれ」
カルヴィンがいなければ自分はおそらく生きてはいまい。そのことを悟ったクリフォードは生きている喜びと、そしてカルヴィン・ゲリーというなくてはならない大きな存在を思い知った。
彼こそがぼくの宿縁だ――!
クリフォードが理解した時、胸が熱くなるのを感じた。涙が込み上げてくる。そして泣きじゃくる彼の姿に胸を痛めもした。
「カルヴィン……大丈夫だ」
クリフォードはカルヴィンを落ち着かせるために背中を擦り、宥める。それでもカルヴィンの涙は耐えず流れ続ける。クリフォードの腕の中でただただ泣きじゃくった。
やがてカルヴィンの泣き声がしゃくりに変わる頃――。
「ドールの中に護身用として短剣を仕込ませていたんだが……まさかぼくの方が助けられるなんてまったく、君には驚かされてばかりだ」
クリフォードは静かにそう言った。
《ActⅣ Scene 2 : decisive battle / 完》
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