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Act Ⅳ Scene 3 : 理性と感情のはざまで。①

 夜の静寂が辺りを包む。  どこかでふくろうが鳴き、狼の遠吠えが聞こえている。  暖炉では炎が大きく揺れている。炎はぱちぱちと軽い音を立てながら、木材のあたたかな空間を橙色の光で包んでいた。カルヴィンはクリフォードと別荘にいた。ゴドフリーとの対決の後、ティムにはあらかたの経緯を話し、馬車で送ってもらった。  明日にはおそらくゴドフリーが失踪したとゴシップになるだろうが今のカルヴィンにはそんなことはどうでもよかった。とにかく、カルヴィンはクリフォードと離れたくはなかった。クリフォードがゴドフリーに殺されかけた時。どれほどカルヴィンが彼を欲しているのかを思い知らされた。カルヴィンにとってクリフォードと離れることが辛い。ことさら、彼を心から愛していると知ってしまった後は――。  だからカルヴィンは馬車にいる時も、ティムといるときでさえもクリフォードの首に巻きつける腕を緩めなかった。別荘に着き、ベッドに腰掛けたクリフォードの膝の上に横抱きのまま、カルヴィンは何も言わずにただ腕を巻きつける。クリフォードの方もただ無言でカルヴィンの腰に腕を回していた。  ティムが屋敷に戻った今、クリフォードとふたりきりだ。広いはずの部屋はクリフォードがいるとものすごく狭く感じた。広い肩幅も、分厚い胸も、ズボンの上からでもわかるぴんと張り詰めた長い足も――。彼の圧倒的存在感がこの部屋を埋め尽くす。カルヴィンの心が彼で占めているように……。 「お願い、ぼくを貴方と同族にして」

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