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Act Ⅳ Scene 3 : 理性と感情のはざまで。②
ようやく涙が止まったと思ったのに、クリフォードとの別れがやって来るのだと思うとまた瞼が熱くなる。カルヴィンは彼の首に回した腕の力を強めた。クリフォードとの別れを拒絶する。ゴドフリーとの決着がついた今、クリフォードと自分を繋ぎ止めるものは何もない。彼はきっと自分を今すぐ締め出し、初めからカルヴィン・ゲリーなどいなかったかのように振る舞うつもりだということを知っていた。
カルヴィンの懇願する声はしゃくりで弱々しい。胸の痛みを無視できないまま彼に話せば、やはり彼は首を横に振った。
「だめだ。同族になれば君は二度と太陽の下を歩けなくなる」
彼は自分を遠ざけるだろうと思っていた。けれども彼が否定した理由はカルヴィンの予想とは違う内容だった。クリフォードは、太陽の下を歩けなくなると言ったのだ。
「それはどういう……? でもゴドフリーは!」
ゴドフリーはカルヴィンと日中でも会話をしていた。彼はカルヴィンを食事に誘い、外出さえした。だからてっきりカルヴィンはオカルト記事などで見る内容とは若干異なると思っていたのだ。
「ヴァンパイアは太陽の光に浴びれば灰と化す。ゴドフリーはどういう方法を使ったのかわからないが、太陽さえも味方につけたんだろうな。生憎聞き出すことはできなかったが――」
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