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Act Ⅳ Scene 3 : 理性と感情のはざまで。③

 クリフォードの話をきっかけに、ふとカルヴィンはひとつの出来事に思い当たった。それはカルヴィンがクリフォードに抱かれ、目覚めた後のことだ。彼はティムと何やら口論し、カルヴィンを見ると逃げるように去った。あの時、自分を見た彼の怯えたような深い藍色の目を思い出し、カルヴィンは、はっとした。 「だから貴方はぼくの元から去ったの?」  クリフォードは静かに頷いた。カルヴィンは、てっきりクリフォードに嫌われたのだと思っていた。浅ましく彼を求める卑猥な自分に嫌気が差したのだと――。だが、クリフォードの会話から考えるに、彼はカルヴィンを想ってくれている。彼はカルヴィンが側にいることではなく、二度と陽光に当たることができない姿へ変えることが気に入らないようだった。 「奴の行動を知りたくて、悟られないようにしながら尾行していた。だが、結局のところは、ぼくは夜しか動けない。何も探れなかった」  クリフォードは小さく首を横に振る。  彼はとてつもない間違いをしている。太陽の下に出られないからといって、それがどうだというのだろう。カルヴィンにとってクリフォードこそが太陽だ。彼がいなければどこにいたって地獄だし、永遠の闇になる。それがなぜ、彼にはわからないのだろう。 「クリフォード、そんなことはどうだっていいんだ。ぼくは貴方を愛している」  だから側にいたい。涙が込み上げ、声が掠れる。その中での告白は、果たして彼に届いただろうか。そっと顔を上げれば、親指が目尻を拭った。

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