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Act Ⅳ Scene 4 : 宿縁。①

 クリフォードはひとつうなるとカルヴィンの腰に固定していた大きな手をドレスの中に滑り込ませた。カルヴィンの両胸にある飾りをそっと摘み上げる。カルヴィンは小さく息を吐き、待ち望んでいたものがようやく与えられたのだというように上げて仰け反った。日焼け知らずの喉元がクリフォードを魅せる。彼の口が甘いため息を漏らすカルヴィンの唇を塞ぐ。誘惑的な唇にそっと舌を差し出しノックすれば、彼はクリフォードの舌を招き入れた。クリフォードは我が物顔で彼の口内を蹂躙し、シルクのような甘い舌触りに酔い痴れる。唇の端にキスを落とし、丸みを帯びた顎を通って耳朶を食む。それから首筋を通り、大きく脈打つ血流に鼻先を擦りつけた。  カルヴィンのこの甘く馨しい血の香りがクリフォードの理性を奪わせる。強烈な熱が躰の中心にあるクリフォード自身に集中する。彼の甘い血液が欲しいとヴァンパイアの本能が囁く。しかしカルヴィンの血を吸い、バランのようにならないという補償はどこにもない。たしかに、クリフォードは二度もカルヴィンの血を求め、柔肌に牙を埋めた。血液をいただいたが、全身から血を抜き取ることはなく、寸前で止めることができた。  だが――。  今度も同じようにできる自信がない。なにせクリフォードの父親は利己的な考えで実の息子をヴァンパイアにした男だ。自分は彼の息子で、血を受け継いでいる。クリフォードの感情が暴走し、愛するカルヴィンの命を奪う恐れがある。クリフォードは身動ぎひとつしないまま、唇を噛みしめる。

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