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Act Ⅳ Scene 4 : 宿縁。⑤

 するとカルヴィンはすすり泣いた。クリフォードははっとして顔を上げると、彼は翡翠の目に涙を浮かべ、早く欲しいと懇願しているではないか。その姿が可愛くてたまらない。気がつけばクリフォードの口元が緩み、笑みを浮かべていた。 「シーッ、泣かなくてもいいよ愛しい君。ぼくはこの行為を止めるつもりはないし、もうすっかり君の虜なんだから――」  クリフォードがカルヴィンに話しかけた。カルヴィンはもう大丈夫だから抱いてほしいと懇願する。その姿が愛おしい。クリフォードは胸の中にあたたかなものが流れ込むのを感じた。身を起こし、反り上がった自身をカルヴィンの中に埋める。カルヴィンは待ち望んでいたかのように両膝を折り曲げてたくましい腰に絡ませた。カルヴィンは喉を見せて躰を反らす。必然的に中にいるクリフォードを締めつける。それはとても強烈な感覚だった。  クリフォードは口の両端にある犬歯が口の中で伸びるのを感じた。彼のか細い首筋に牙を突き立てる。  カルヴィンの躰が弓なりに反れると、それを合図にして勢いよく血液を吸う。口の中にはより強烈なマグノリアの馨しい味が広がった。そして彼に呼吸するかのようにクリフォードは自分の血液を彼に注ぎ込む。  カルヴィンの顔が上気する。翡翠の目が大きく見開かれたかと思うと大粒の涙が次から次へと零れ落ちていった……。

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