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初めてのお仕事 4
紘弥の肌は白くて、けれど健康的な赤みが差していて、すらりとした骨格に青年らしいしなやかな筋肉もついていた。
触れると滑らかで、温かくて、なんて綺麗で心地いい身体をしているんだろうと浩一は思う。
腕に抱いて、肌を合わせるだけで幸せな気持ちになるのに、紘弥の手が浩一の首や肩や腕を撫ぜるように触れて、淡く熱を帯びた瞳がずっと浩一を見つめているのが、都合のいい夢を見ているようだった。
顔を近付けると、キスをねだるように首を傾けて目を伏せる。そんなふうにされたらとても逆らえなくて、何度も何度も唇を合わせた。
深く絡んだキスの後に、お互い息を弾ませながら触れ合いそうな距離で見つめ合う。紘弥の目が逸らされないことが不思議で、見つめ合うことすら快くて、浩一は笑った。
「嘘みたいに、素敵だね……君……」
くすくすとおかしそうに紘弥も笑う。
「嘘って何ですか、それ……」
だって、と呟きながら、手の平で紘弥の無防備な肌を撫でる。下腹から、胸の辺りまで撫で上げると、つんと小さく尖った乳首が手に触れた。ん、と小さな声を漏らして、紘弥が目を伏せる。
揺れる睫毛がとても色っぽくて美しいと思ったけれど、紘弥の目がこちらを見ないのが寂しくて、触れるだけのキスをすると、もっと、とせがむようにやわらかく唇を押し付けられた。
こんなことをされて骨抜きにならない男はいない、と思いながら、紘弥の頬を撫でてまた丹念なキスをした。
「……紘弥くん、キス、好き?」
目許にも口づけながら訊いてみると、紘弥は浩一の頬を包むように手を当てて、言った。
「……浩一さんの唇、気持ちよくて……」
世辞だと思いたいのに、浩一の下腹部は馬鹿正直に熱を持った。
けれどしょうがないと思う。こんなに可愛い子が、こんなに陶酔した目をして自分を求めてくれたら、男として嬉しくないはずがなかった。
そして、紘弥の陶酔は浩一の思い込みばかりではないはずだった。抱き合えば否応なくわかる、硬くなって勃ち上がっている紘弥のペニスは、少なくともそうなるだけの興奮の証しだ。
初めて会った相手て、初めての客で、緊張しているだろうに、それでもこうして反応してくれているのが健気に思えた。何でもしてあげたいと思って、指でその昂ぶりに触れながら、囁くような声で訊いてみる。
「ね、舐めてもいい? これ……」
紘弥は驚いた顔をして、明らかに戸惑った。
「い、いいですけど、でも」
「口でしたら、その後キスできなくなっちゃうかな」
紘弥は急にひどく恥ずかしそうな顔をして、首を振った。どんな顔をしても可愛いので、浩一は改めて、こんな素敵な子をこんなに簡単に抱いてしまっていいのだろうか、と思う。
紘弥の昂ぶったペニスを握ると、まるでそれだけでも感じているかのように紘弥は身を震わせた。もっと気持ちよくしてあげたい、という気持ちが抑えきれなくなって、浩一は紘弥の脚の間に顔を埋める。
「あっ……」
舌を這わせながら口に含むと、口の中でそれは素直に反応した。
こんなに感じやすくて正直な身体をしていて、そのくせ恥じらいと戸惑いを見せるのはずるいな、と思って、男が弱いだろうと思うところを舐め回して、吸ってやると、紘弥は腰を震わせて熱っぽく濡れた声を出した。
「あっあ……あっ……だめ、浩一さん……」
舐め上げて口を離し、代わりに指で先端を刺激してやれば、紘弥は切なげな声を上げる。濡れているのは浩一の唾液ばかりとは思えなかった。
「……イッちゃいそう?」
訊くと、紘弥は眉を寄せてこくこくと頷く。やめてほしいのか、やめてほしくないのか、どちらだろうと思ってその顔を見つめていると、ふと目が合って、しかしすぐに逸らされてしまった。
「……いや? 紘弥くん……」
ペニスを擦る手を止めて、そう訊いてみると、紘弥は首を振る。そして、ひどく小さな声で言った。
「は、恥ずかしいだけ、です……」
その言葉を裏付けるように、紘弥の耳は真っ赤になっていた。あまり恥ずかしがらせるのはかわいそうだという気持ちもあったが、より昂ぶる紘弥を見たいという気持ちが勝った。
唾液と紘弥のにじませたもので濡れた指で、脚の間のより奥まった部分を探ると、すでに柔らかい入り口がすぐに触れた。ぬめりを丁寧に塗り付けてやるだけで、紘弥は口を押さえて身をよじった。
客にサービスするのなら、声は聞かせた方がいいに決まっている。紘弥が今どこまで考えられているのかはわからなかったが、きっと本当に恥ずかしいのだろうと思った。
浩一は震える紘弥の内ももに口づける。柔らかく弾力のあるそこを噛んでしまいたい衝動はこらえた。
「ごめんね、恥ずかしがらせて……」
それは本音だったが、やめてやれなかった。浩一は紘弥の濡れた入り口に指を入れながら、張り詰めているペニスを丹念に擦った。
「えっあっ……あっ……や……やあぁ……っ」
紘弥の身体はどこまでも素直だった。紘弥の内側は浩一の指に絡みつきながら痙攣し、ペニスは浩一の手の促すままに射精した。
紘弥はシーツをきつく握り締めて、浩一から顔を背けるようにして息を乱していた。それが彼の正直さを表しているようで、浩一はますます愛しさで胸が熱くなる。
自分で吐いたもので汚れてしまった紘弥の身体を丁寧に拭ってやって、まだ息の整わない肩を撫でて抱き寄せると、紘弥はまるで子どものように浩一にすがりついてきた。
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