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年下の男の子 4

 そんな口説き文句があったのか、と、直純は思わず声を失って、悔しくなって愁征の腕に触れた。 「……でも、めちゃめちゃ理性あるように見えるよ。僕にはそんなに欲情しない?」  そう言うと愁征の目の色が深くなったように見えたが、声の調子はさほど変わらなかった。 「……理性と性欲って、両立しないんですかね? 俺、ずっと、直純さんのこと抱きたいって思ってますし、気持ちよくしてあげたいって考えてます。でも、直純さんの嫌がることしたくないんで、自分の性欲とか二の次なんですけど、おかしいですか」  直純は目を見開いて愁征を見つめて、それからそうしている自分に気付いて、慌てて目を逸らした。 「お、おかしいっていうか、変わってるよ。君、もともと性欲薄いんじゃない?」 「そんなことないと思うんですけど……変わってるっていうのはよく言われます」  だろうね、と直純は呟いて、自分の心臓が耳に届くほどに高鳴っていることに気が付いた。何故自分がこんなに動じなければならないのか、相手は男を抱いたこともない高校生なのに、と思いながら、その音を静めることができなかった。  ──僕らしくなくない?  高校生の純情に引きずられているのだと自分に言い聞かせて、直純は愁征の手に指を絡ませた。その指の長さに、また直純の中でうずくものがあった。 「……性欲あるなら、ちゃんと見せてよ。キスぐらいなら相手が男でも経験とか関係ないでしょ?」  そう言って顎を上げる。愁征は言葉では答えずに、そっと直純の頬を手のひらで包んで口づけてきた。  テクニックだけの話をすればそれは拙いキスで、けれど恋人にするキスだと思った。唇という器官以上に、直純を求めているキスだった。  求められたら応えたくなるのは、そういう性なのか職業病なのか。直純にはわからなかったが、身体は確かに反応して、愁征との距離がもどかしくなった。  愁征の舌を音を立てて吸って、離れると、その首に手を回して引き寄せた。 「……へたくそでも怒んないから、僕の身体触ってよ」  愁征が息を飲んだのがわかって、直純は少し満足する。年齢も経験もはるかにこちらの方が上なのだから、リードする立場でありたかった。 「脱がしていいよ……痕つけないなら好きにして大丈夫だから」  愁征は熱っぽい目で直純を見下ろして、熱い手で胸を撫でてきた。 「……んっ……」  乳首が擦れて、直純は濡れた声を漏らした。愁征がそれを聞き漏らすはずもなく、いくらか熱を帯びた声が言った。 「もしかして……乳首、感じるんですか」  直純は笑う。当たり前のことを訊いてくる愁征がおかしく、同時に可愛らしく思えた。 「感じるよ……うまい人だったら乳首だけでイッちゃうくらい」  愁征は表情を変えずに、黙って直純の乳首を指先でくすぐり、転がして、それに反応があるのを確かめてから、指と舌で両の乳首をなぶり始めた。 「あっやっ……あっ……! んっ……君、あっ……そんなやらしい触り方、あぁっ……」  直純は感じるままに声を上げて、膝を擦り合わせた。 「いやですか? こういうの……」 「全然……好き……。あっ……もう……お尻うずいてきちゃったじゃん……」  いつもの仕事の要領で、直純はシャワーを浴びがてら入り口をほぐしていた。すぐにも男の受け入れられる状態のそこが、乳首への刺激に呼応するようにひくついているのが自分でもよくわかった。  愁征は直純のロープの前を開く。すでに兆しているペニスが、愁征の目の前に晒された。 「……どう? 男の身体、萎えない?」  訊いてみると、愁征は繊細な手つきで直純の腰を撫でて、呟いた。 「……すごく綺麗で、驚いてます」  直純は笑う。愁征の目が自分の身体に縫い付けられたようになっていて、それは大いに気分の良いことだった。 「この身体で、お金持ちの男の人、たくさん夢中にさせてるんだから」  試すようにそう言うと、愁征は直純の裸体を見つめたまま、わかります、と呟いた。  怒るでも、欲情するでもない。本当におかしな子だ、と思いながら、直純は身体を起こす。 「君は? 僕におちんちん大きくしてくれてるの?」  愁征の腰のタオルに手を伸ばすと、すぐに硬いものが手に触れた。愁征も察してタオルを取る。  愁征のペニスは赤みを帯びて硬く反り返り、欲の高まりをその形で明確に表していた。  それを見て直純は息を飲む。身体の芯に火が着いたのを、否定することができなかった。 「…………ずるいよ、君……」  呻くように言うと、愁征は瞬いて直純の顔を見た。しかし直純は、愁征の雄から目を逸らせなかった。 「そんなの挿れられたら、絶対気持ちいいじゃん……」

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