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年下の男の子 5
男のモノなんて見飽きるほど見てきたし、単に大きいだとか長いだとか、そんなことでいちいち動じるほど初ではないつもりだった。
けれど、時折、これを尻に挿れられたらどんなに気持ちいいだろうと、想像だけでうっとりとしてしまうモノを見ることがあった。そして、そんなときはそれで突かれると必ず直純は泣いて乱れてしまった。
問題はその形や大きさではなく直純の気分なのかもしれなかったが、いずれにしても、直純は愁征の硬くなったペニスを見て、同じように感じてしまったのだ。
「……俺の……ですか?」
愁征はいまひとつピンときていないようで、そう問い返してきたが、直純はこれからこの年下の少年にひどく喘がされるのかもしれないと思わずにはいられなくて、悔し紛れにゴムの個包装を投げつけた。
「ばか、早くゴムつけてよ」
それは大人げも何もないただの八つ当たりだったが、愁征は何も言わずに言われた通りに自分のそれにゴムをかぶせて、包装をゴミ箱に投げ込むと、直純の顔を覗き込んできた。
「俺の、……直純さんの中に挿れていいんですか?」
直純は何だか泣きたくなる。彼がもっと幼稚で、強引で、獣のように欲望をぶつけてくれたなら、犬に噛まれたようなものだと思えるのに、こんなにいちいち確かめられて、優しく恋心を伝えられたら、直純もそれに応えるか否かをすべて選ばなければならなかった。
「……ここまで来といて、そんなこと今さら訊かないでよ……」
「すみません……でも、直純さんが嫌だと思うこと、したくないです」
愁征は直純の前髪をかき上げて、額に口づけ、そこからこめかみ、目尻へと幾度もキスを繰り返した。それはあまりに優しく、愛情のこもった仕草で、直純は拒みたい気持ちと身を任せてしまいたい気持ちの板挟みになる。
「……も、いいから、濡らして、好きにして……」
半ばやけになった気持ちで直純は呟いた。愁征はその意味がよくわからなかったようで、また直純の目を覗いてきたので、直純はローションのボトルを取って愁征の手に押し付ける。
「男だからっ……ローション使わないと濡れないのっ」
愁征は一瞬きょとんとして、それから柔らかく微笑んで直純の唇に触れるだけのキスをした。そういう優しさの一切合切がいらないのだと、口には出せないのがまた悔しかった。
「……触っていいんですよね?」
直純はただ頷く。これ以上優しくされたら、本当に泣いてしまうのではないかという気がしてきた。
愁征は慣れない手つきでローションを出して、おずおずと直純の秘部に触れた。すでに柔らかいそこに指の這う感触を直純は耐える。丁寧が過ぎるほど優しく撫でられているうちに、不意に指の先端が入ってきた。
「やんっ……!」
優しさに油断していた直純は高い声を上げた。愁征も驚いた顔をして、指の感触はすぐに消えた。
「す……すみません、あの、こんな、柔らかいと思わなくて」
直純は口元を押さえながら、愁征を睨んで言った。
「柔かくしなきゃ、入んないじゃん、ばかぁ」
愁征はとても静かな目で直純を見て、そして直純の手の甲越しに唇にキスをしてきた。
「……もう一回、指入れさせてください」
直純は何も言えなくて、愁征の指が濡れた入り口を探って、ゆっくりと指が差し込まれるのをただ耐えた。普段なら可愛く鳴いてみせるところなのに、何故だか彼相手に簡単に喘ぐのは癪だった。
それでも、愁征の長い指がゆっくりと中の感触を確かめるように動いて、弱い部分を擦ると、切ない声が漏れてしまうのはもうどうしようもなかった。直純はそういう身体になってしまっていたし、快感が増せばそれだけ理性は溶けていった。
「も……いつまでいじってるのぉ……」
なじるように言うと、愁征は名残惜しそうに指を抜いて、直純の膝にキスをした。
「……俺の、挿れますね」
その声に、直純の心臓はまた跳ねた。あれが中に入ってくるのだと思うと、否応なしに期待が高まり、そして彼の下で自分は乱れてしまうのかと思うと、逃げ出したいような気持ちになった。
愁征がペニスの先を押し付けてくるのを感じて、直純はひどく切ない感覚に襲われた。この年下の変わり者の彼に食べられてしまう。突然そんな思いが湧いてきた。
「あぁんっ……!」
あらかじめほぐして、さらに丁寧に濡らされたそこは、簡単に先端を飲んでしまった。そしてそこからさらに、様子を窺い窺いしながら、若いペニスはゆっくりと侵入してきた。
それを焦れったいと言うに言えなくて、直純は荒い息をつきながら愁征を受け入れるしかなかった。そして何故、愁征よりも自分の息が乱れているのかと思わずにはいられなかった。
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