愁征は根元までペニスを挿入してしまうと、動きを止めて大きく息をついた。 「直純さん……痛くないですか……」 　熱を帯びた男の声でそう訊かれて、直純はもう何も言わないでほしいと思いながら、それを言葉にできなかった。直純の中の愁征のそれは、まるで鋭く尖って、直純の奥にある特別弱いところに刺さってしまっているような感覚があった。 「直純さん……？」 　愁征の手が優しく髪を払って頬に触れてくる。直純はひどく悔しい気持ちで、愁征を見上げた。 「……も、そういうのいいから、はやく動いて、出してよぉ……」 　雄をいっぱいに飲まされて、どうしても甘い声が出てしまう。初な男なら簡単にその声に酔ってくれるのに、愁征は瞳の熱と欲の色を濃くしながらも、言うことは相変わらずだった。 「……俺、出したくて直純さんとセックスしてるんじゃないです……。直純さんの身体、ちゃんと抱いて、気持ちよくしたい……」 　直純はベッドの上に横たわりながら、くらくらと目眩を覚えた。今、彼とセックスしている。してしまっているのだと急に強く自覚されて、開いた脚が不随意に震えた。 　直純の動揺に気付いていないらしい愁征は、直純の手を取って指を絡めながらシーツの上に押し付ける。それは直純にとっては拘束に等しくて、やだ、と声を上げようとしたところで、愁征が腰を動かし始めた。 「やあん……！」 　セックスなど数え切れないほどしてきたのに、直純は自分の感覚を捉え切れなかった。愁征の性器は直純の入り口を擦りながら出ていったかと思うと、またそこをこじ開けてきて奥にずくりと刺さった。それを繰り返されるうちに、直純は何をされているのか正常に判断できなくなる。何度も奥をずくずくと刺されて、ひどくいじめられているような気持ちになった。 「あっやだぁ……っ！　やだぁなんでっ……奥刺さってるぅ……！」 　直純は身をよじり、喘いだが、愁征の手に縫い留められ、性器で刺し貫かれていて、逃げることも抗うこともできなかった。 「やん、やだ……！　お尻いじめないでよぉっ……！」 　涙を浮かべて訴えると、愁征は動きを止めて、荒い息をつきながら、直純の目を覗いてきた。 「……でも、直純さん、すごく感じてますよね……？」 　直純は首を振る。愁征から顔を背けたかった。 「勝手なこと言わないでよぉ……！　子どものくせにぃっ……」 　愁征の少し笑った気配がした。それが何の笑いなのか、今の直純にはとても考える余裕はなかった。 「直純さん……だって、さっきから精液出てます……。……すごい、やらしくて、かわいい……」 　言葉の最後の方は独り言のようだった。直純が首をもたげると、ペニスの先からとろりとろりと精が流れ出て、自身を白く汚しているのが見えた。 「あっ……やだ……なんでぇ……っ？」 　いつの間に甘イキしてしまっていたのか、まったくわからなくて、直純は泣きそうになる。愁征のせいで身体がおかしくなってしまったのではないかと思った。 「……直純さん、すごく、可愛い……」 　愁征はそう言って、また直純の奥を突き始めた。直純はたまらずに喉を反らして喘ぐ。 「あっやあっ……また奥刺さってるぅ……！　もおばかっ……それやめてよぉ……っ」 「直純さん、せっかくセックスしてるんだから、一回くらい俺のこと名前で呼んでくれませんか」 「ばかぁ、セックスじゃないもん……っ！　僕のお尻……あっ……君がいじめてるんじゃん……！」 　愁征はまた笑って、身を屈めると直純の唇を塞いできた。口を塞がれながら性器を奥にずくずくと刺されて、直純はくぐもった泣き声を上げる。気付くと舌を吸われていて、自分が差し出したものか愁征に誘い出されたものかもわからず、いっそう混乱してしまった。 「……っは……やら……ばか愁征……もうちんちん刺すのやめてよぉ……っ……なんでこんなにいじめるのぉ……！」 「いじめてないです、可愛がってあげたくてたまんないだけです……」 　そう言いながらもまた刺し貫かれて、直純はとうとう嗚咽し始めた。 「やだやだぁ……ちんちんもおしりもおかしくなるよぉ……。愁征ぼくのこと好きなくせに……やっ……奥ズンズンしていじめるのきらぁい……！」 　愁征は直純を揺さぶりながら、直純のこぼした涙を唇ですくって、そのままこめかみや耳に口づけた。 「こんなに感じてくれるなんて、思ってなかったです……直純さん、思ってたよりずっと可愛い……」 　直純さんは愁征の肩を押し返そうとしたが、じゅぷりじゅぷりと強く深く挿されて、切なく鳴きながらその首にすがりついた。