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年下の男の子 7
「もおやだぁ……っ、愁征やめてよぉ……! あっ……もう突くのだめ、突くの禁止ぃ……!」
直純は息を乱してぐすぐすと泣きながら、愁征にしがみついて言い募った。
愁征は腰は動かしながら、直純の身体を抱き寄せる。
「直純さん、セックス好きなんでしょう? 今俺達セックスしてるんですよ。何でだめなんです……?」
直純は震えて、浅い呼吸を繰り返して、かぶりを振った。
「だめ、ぼくこんなのつらいからだめぇ……! 愁征いっぱい奥に刺すもん、おしりばかになるよぉ……!」
愁征に揺さぶられて、直純の下腹から、直純が漏らした体液と精子が流れ落ちつつあった。その腰は痙攣し、愁征のペニスを不規則に締めつけていたが、直純にはもうそれを自覚する余裕はなかった。
「……俺も、もう限界なんで、直純さんの中で出させてください……」
愁征が熱い吐息混じりに言うと、直純はぶるぶると首を振った。
「だめっ……中だめっ……やだぁっ……」
「ちゃんとゴムしてますよ……」
「ちが、……あっ……中で出したらびくんびくんするからだめっ……やだ、抜いてぇ……!」
直純は言ってぼろぼろと涙をこぼしたが、愁征は直純の肩を抱き寄せただけで、言うことを聞いてはくれなかった。
ばちゅばちゅと激しく腰を打ちつけていっそう直純を泣かせながら、愁征は震えるその奥ですべて出し切るように射精した。
愁征がペニスを抜いて、汚れた身体を拭いてやっても、直純はまだ泣き止まなかった。
だから愁征はシーツの濡れていないところに直純を寝かせて、抱き寄せて、その背中を撫でながら何度も優しいキスを繰り返す。
やがて直純が泣き声を漏らさなくなり、涙が愁征の肌を濡らさなくなって、ようやく愁征は直純の目を覗きながら言った。
「……たくさん泣かせちゃってすみません……。抱かせてくれて、嬉しかったです」
直純はぐすりと鼻をすすって、愁征を見返した。
「……ばか…………」
そうとだけ言って、直純は顔を伏せてしまう。愁征は汗に濡れた直純の髪を撫でた。
「俺とのセックス、気に入りませんでしたか」
ばか、と再び直純は言って、愁征の背中にぎゅうと腕を回した。
「君、僕の身体に何したかわかってるの? 僕やだって言ったのに、君がいっぱい突くから、僕のお尻奥までずっとジンジンしてるんだよ? 僕ずっと君に犯されてるみたいな気持ちなんだから」
「……」
「こんなのずるいよ……なんで僕だけこんなわけわかんなくされるの…………」
「……俺は直純さんがめちゃくちゃ感じてくれて、嬉しかったですよ」
直純はすん、と鼻を鳴らして愁征を睨んだ。
「当たり前じゃんっ、こんなぐしゃぐしゃになった僕、お客さんでもめったに見れないんだからね!」
直純の顔は赤くて、目は泣き腫らして髪は汗に湿っていた。そのすべてが愁征とのセックスでどれだけ乱れたかの証になっていて、愁征はとても直純を離せなかった。
「……直純さん、俺以外に恋人作る予定ありますか?」
「……なにそれ……」
「俺、直純さんの恋人じゃなくてもいいです。でも、また直純さんのこと抱かせてくれませんか」
直純はじっと愁征を見つめる。欲の感じられない真っ直ぐな目が自分を見ていた。
「……セフレになりたいってこと?」
「俺は他に恋人も作らないし、もちろん直純さん以外誰も抱いたりしないです。……だめですか」
「…………また今日みたいに僕のこと泣かせるの?」
愁征は答えなかった。そんな愁征を直純はしばらく見つめて、言った。
「……僕のこと泣かせたら、ちゃんと今日みたいに優しくして甘やかして慰めて、……それで僕のことずっと好きでいてくれるなら、いいよ……」
「……ほんとですか?」
「僕以外とセックスしない?」
「しません」
「僕は仕事でいっぱいセックスするよ?」
「わかってます。……でも、俺以外に恋人を作るときは教えてください」
直純は上目遣いになって愁征を見る。そして、拗ねたような声で言った。
「……わかった。たぶんそんなの、作んないけど」
そんな直純に、愁征は笑って、両腕で強く抱き締めてきた。
「……ばか、苦しい……」
「すみません……嬉しくて」
はにかみながら笑って、愁征は力を緩める。
「僕と何回もただでえっちできるの、君ぐらいだからね」
「……そうなんですか?」
「当たり前じゃん。……僕だってそれなりに人気なんだから」
「……わかります。すごく可愛くて……最高でした」
「もっと褒めて」
「直純さんみたいに何でもしてあげたくなる人知りません。泣き顔もわがままも全部可愛いです」
「……わがままは余計」
すみません、と愁征は言って、直純の頬を撫でる。その目が優しくて、直純は甘えたい気分を我慢せずにキスをねだった。
それはすぐに叶えられて、抱き合いながら長いキスをし、熱を持った身体を押し付けると、愁征は直純の求めるものをすべて与えてくれた。
後日、李紹苑の内部で直純に高校生の恋人ができたとたちまち噂が広まったが、直純は頑としてそれを認めることはなかったのだった。
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