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【11】
大雅の大きな手が芯を持ち始めた悠太郎のそれに優しく巻き付き、上下に扱きあげるたびに先端からとめどなく蜜が溢れた。クチュクチュと水音を発しながら繰り返される行為に、悠太郎は羞恥に震え、顔を真っ赤にして身を縮めようとした。
「大雅……も、やめ……てっ」
すぐそばにある端正な顔が不思議そうに見つめる。先程から腰のあたりに押し付けられているのは大雅の硬く熱く昂ぶった雄茎。自身がそんな状態にもかかわらず、飽くことなく大雅を愛撫し続ける彼に悠太郎の方が耐え切れなくなったのだ。
「――俺の手じゃ気持ちよくなれない?」
いつ暴発してもおかしくないほどに脈打っている悠太郎の現状を一番よく知っているにも拘らず、あえて意地悪な質問をしてくる。必死に首を左右に振り、腰を揺らす悠太郎を見て楽しんでいるようにも見えた。
不意に襲われる強烈な射精感。その前兆を知ると、大雅はふっと指の力を緩める。
「違……っう!」
「じゃあ……悠はどうして欲しいの?」
「そ……っなこと、聞くなよっ」
「ちゃんと教えてくれないと分からないだろ?」
ニヤッと笑いながら体を下方にずらした大雅は、羽枕に背を預けた悠太郎を上目づかいで見上げると、濡れた雄茎に頬を寄せた。そして見せつけるように舌先を伸ばすと、鈴口から溢れる蜜を掬うように舐めとった。
「んあっ! やだ……っ」
「ワガママなお姫様だな。こんなに甘い蜜を溢れさせて俺を誘惑するクセに……」
大雅の舌が濡れた茎をなぞる様に這うたびに、悠太郎は腰をわずかに浮かせて吐息交じりの嬌声を漏らした。
じわじわと体に入り込んでくる快感。それが少しずつ侵食し、小坂が触れた記憶を上書きしていく。
小坂の愛撫とは比較にならないほど心地がいい。愛してやまない大雅の手から与えられる快感は、悠太郎にとって何もかもが極上で幸福だった。
くびれた場所に唇を押し当て、チュッと音を立ててキスをされる。たったそれだけで射精感が高まり、尻に窪みが出来るほどギュッと力を入れる。腰の奥が重怠く、疼き続けている。このモヤモヤした感じから早く脱したくて悠太郎は目を閉じたまま声を上げた。
「――も、イかせてっ」
涙目で茎の根元に舌を這わせていた大雅を睨むと、彼ははっと息を呑んでその動きを止めた。
そして、野性味の溢れた瞳をすっと嬉しそうに細めると悠太郎の雄茎を自身の口に頬張った。
「あぁ……っ」
柔らかく、そしてねっとりとした舌に絡み取られるように迎えられた口内は熱く、悠太郎は顎を上向けて声を上げた。何かを絞り出すかのように吸引され、グボッグボッと繰り返される音が悠太郎の耳に届く。その度に腰が揺れるのを止められない。
「あぁ……。大雅……ダメ……で、出ちゃう!」
「イキたいんだろ……? お前の望みは何でも叶えてやる」
「あ、喋っちゃ……だめ! きも……ち、いいっ! で、ちゃう……! も、やだ……あ、あぁ……っふ」
腰から臀部にゾクゾクとした痺れが走る。それが背中を通って体中に広がっていく。こうなったらもう止めることは出来ない。抗うことなく本能のままに、欲望を吐き出すほかない。
悠太郎は大雅の髪に指を埋め、自身の下肢にそっと押し付けた。力の加減が上手く出来ない。そのせいで、大雅の喉奥に先端が触れ、収縮する粘膜に包み込まれてしまう。
「――っぐがぁ」
「た……ぃが、ごめ……っ。俺……も、ダメ……あ、あ……っ。イク……イクッ!」
悠太郎は全身を小刻みに震わせると、腰を大きく跳ねさせた。その瞬間、大雅の喉奥に押し当てられていた先端から白濁が迸った。
「っく――」
細い腰を揺らしながらすべてを吐き出して弛緩する悠太郎を見つめながら、大雅は喉奥を叩きつけた大量の白濁をゆっくりと味わうように嚥下した。
羞恥と熱に侵されながら薄っすらと目を開いた悠太郎の目に映ったのは、唇から雄茎を引き抜きながら男らしい喉仏を上下に動かす大雅の姿だった。捕食者の顔――まさにそんな表現が当てはまる、雄々しさに目を奪われる。
唇の端についた残滓を指先で口内に押し込むようにして舐めとった大雅は、わずかに口を開けて笑った。
「美味しい……。悠の精子……呑んじゃった」
喉に違和感を感じるのか、掠れた声が悠太郎の鼓膜を震わせる。その瞬間、今まで以上に顔が火照り、恥ずかしさに枕に頬を埋めた。
「そんなマズイもの……呑むな!」
強がってみたものの、自身が晒している格好を思えばそんな強がりなど効力がないことは一目瞭然だ。
膝を曲げ、力なく下生えに横たわる雄茎。その下にあるたっぷりとした陰嚢と濡れ始めた蕾を隠すことなく大雅に見せつけるように腰を突き出している。
「――小坂には呑ませたのに、俺にはダメなの?」
「う……」
「――アイツ、マジで許せない」
あの時のことを思い出したのか、大雅の瞳に怒りが浮かぶ。眉根を寄せながら大雅は自身の指を舐めると、無防備な悠太郎の蕾に触れた。
「ひ――ぃ」
短く喉の奥で叫んだ悠太郎を見下ろしながら、大雅がツンと尖った胸の飾りをかじった。
「あぁ――っ」
「悠はここが感じるんだよね? ねぇ、小坂にここを弄られたの? 指、突っ込まれて……感じたの?」
悠太郎は首を振って全力で否定した。幸い、小坂には触れられていない秘密の場所。
男同士のセックスは、ここで繋がることを知った時は衝撃的だった。しかし、今はそんな恐怖も不安もなかった。相手はずっと好きだった男――。
早く繋がりたい。一つになって『恋人』として胸をはって歩きたい。
彼に憧れ、自分を守るために見せてきた背中を脇目も振らず追いかけてきた。その背中にやっと追いつけた今、悠太郎には期待しかなかった。
大雅の指が慎ましく佇む蕾に触れ、その周囲を円を描くように愛撫する。くすぐったいような、むず痒いような感触に立てていた膝を内側に寄せると、大雅の手がそれをやんわりと開く。
「もっと見せて……。悠の綺麗な場所」
「やだぁ……。そんな汚いところ……」
「汚くないよ。淡いピンク色で触れるたびにヒクヒク動いてる。これって俺を求めてるって勝手な解釈していいのかな?」
体を起こしてマジマジとその場所を覗き込んだ大雅に、悠太郎は顔を背けて「知るかっ」と声を上げた。だが、その声は心なしか震えているのが自分でも分かった。
自慰行為でもその場所には触れていない。未開の地に大雅を迎える期待に胸がいっぱいになる。
「――さ、わんなよっ」
「こうやって柔らかくしていかないと……痛いだろ? 悠を傷付けたくない」
「いいからっ!」
「何が?」
大雅は訝るように悠太郎の胸に顔を寄せると、再び胸の飾りにやんわりと歯を立てた。
「んあぁ……っ」
その瞬間、大雅の指先がプツリと小さな音を立てて蕾の中に入り込んできた。薄い襞を開く様に分け入った指に異物感を感じ、体はそれを吐き出そうとする。
「力、抜いて……」
「うぅ……。指……入ってるぅ」
「まだ一本だよ? ゆっくり柔らかくしてあげるから。――はやく欲しいって思ってるからこそ、大事にしたいんだよ……。お前を泣かせたくない」
大雅は胸の突起を舌先で愛撫しながら指を奥へと進める。今まで何も受け入れていないそこは熱く潤んではいるが、悠太郎の想いとは逆にまだ強張りをみせ心を開かない。
指の腹で内壁をなぞりつつ乳首を愛撫されると、次第に悠太郎の腰の奥がジンと甘く痺れはじめた。
未知の感覚――その痺れは脳髄を蕩かし、無駄に強張っていた身体を柔らかくしていく。
時折入口まで引き抜き、指先で濡れた蕾の入口をヌチュヌチュと音を立てて弄る大雅に、悠太郎は身を震わせた。
「あぁ……そこ、気持ち、いいよぉ……っ」
「悠は入口弄られるのが好きなんだね? でも、もっと気持ちいいことを教えてあげる」
仰向けに寝ていた悠太郎の身体を反転させ、うつ伏せにさせた大雅は腰を掴んで高く上げさせると、潤んだ蕾に揃えた指を二本、ゆっくりと突きこんだ。
「んあぁ……ハァハァ……ひろが、る……孔が……っ」
「悠の処女孔は思ったより柔らかいね……。ヒクヒクと収縮して、俺の指を呑み込んでいくよ」
「い……ぅな! 恥ずかしい……だ、ろ」
「どうして? どんな感じに解れていくか、きちんと説明した方がイイだろ?」
「バカ……ッ。言わな……て、いい……っ、あぁっ」
「もしかして――自分でしてた?」
枕に顔を埋めたまま低く唸った悠太郎は、返事をする代わりに腰を左右に振ってみせた。
それをどう汲み取ったのか、大雅は自身の身体を悠太郎の開いた脚の間に滑り込ませると、指を突きこんだ場所に端正な顔を寄せ、舌先を伸ばした。
「ひぃ――っ!」
広げられた薄い粘膜を大雅の舌がねっとりと舐めあげると、声にならない声が開いたままの口から洩れた。
悠太郎の狭い場所を広げようと、中に入った長い二本の指が左右に開かれ、そのまま側面を擦りあげる。
「あっ、あ……なんか、変……な、感じ……っふ! ムズムズして……あぁ……気持ち、いいっ」
グッと広げられた場所に舌先が滑り込み、唾液を流し込まれる。指を動かすたびにグチュグチュと卑猥な音が漏れ、排泄器官でありながら、まるで女性の秘部のように錯覚する。
「綺麗だよ……悠。ここを犯したい……滅茶苦茶に犯して、俺のモノにしたい」
劣情を抑えきれないというような低い声が背後から聞こえる。
(愛おしい……)
額を押し付けて自身の下肢を覗き込むような格好で二つの茎が揺れるのを見つめていた悠太郎は、不自然な格好ながらその手を伸ばし、大雅の力強い茎に指を絡めた。
「悠……」
「大雅……俺も、舐め……たい」
くぐもった悠太郎の声に気付いた大雅が初めは驚き目を見開いたが、その表情を嬉々としたものへ変えると、彼の身体の下に自身の身体を滑り込ませた。
両手で体を支えながら、目の前に突如現れた長大な雄茎に頬を寄せた悠太郎は、それにキスをしてから迷うことなく頬張った。
濡れた蜜で糸を引いた先端を喉の奥まで一度収めてから、すべて口内に収めきれないと悟り、カリの部分に舌先を絡め音を立てて吸った。
「――っく」
生まれて初めての口淫。その相手が大雅であることが嬉しかった。もしかしたら、この行為を小坂に強いられていたかもしれないと思うと鳥肌が立つが、今は口内に広がる蜜の苦みも甘く感じられた。
悠太郎の口淫に思わず息を詰めた大雅だったが、愛してやまない相手から施される愛撫はこの上なく心地いいのか、指の動きが時々止まる。
それに焦れるように腰を動かす悠太郎は必死に大雅の茎を舐めた。
同じ男だから分かる快感のツボ。そこを探るかのように拙いながらも舌を這わす悠太郎は無意識に大雅の指をきつく喰い締めていた。
それによって内壁に当たる大雅の指の存在をまざまざと感じ、また腰を震わせる。
「あぁ……悠の口の中、気持ちがイイ……」
「ん……っく。ふぁ……あぁ……っ」
「悠の孔もイヤらしく濡れて来たよ……っく。ほら……っ」
大雅の二本の指が激しく出し入れされる。その指先がある場所を掠った瞬間、悠太郎は大きく目を見開き、腰を跳ねさせた。
「ふあぁ――っ」
ギュ―ッと大雅の指を強く食い締め、内腿をブルブルと震わせながら彼の腹の上に崩れ落ちた悠太郎は、自身に何が起きたのか分からずにいた。
「悠のイイところ……見つけたぁ!」
嬉しそうにそう呟いた大雅の声で、そこが噂に聞く前立腺だということを初めて知った。
大雅の指が触れた瞬間、目の前に星が飛び散った。頭が真っ白になったのも覚えている。しかし、射精はしていない。それなのに、腰の奥はジンジンと痺れ、まるで絶頂を味わった後のような気怠さが残っている。
「処女なのに雌イキしちゃったんだね。悠……可愛いよ」
「あ……っふ、ん……んん……っ」
まだ甘く痺れているその場所をなぞりながら大雅の指が引き抜かれていく。広げられた蕾が萎んでいく虚無感に寂しさを覚えつつ、彼の茎へと再び手を伸ばした時、その身体はスルリと悠太郎の下から引き抜かれてしまった。
代わりに汗で湿ったシーツを掴み寄せ、おぼつかない動きで膝をついた悠太郎の腰が力強い手で引寄せられた。
「ふあぁ?」
「気持ちよかった? じゃあ、もっと気持ちよくさせてあげる。悠の体に俺の形を覚えさせて、他の誰にも心惹かれないようにする……」
虚無感に何かを求め、収縮を繰り返していた蕾の入口に、熱くて硬いものがぐっと押し当てられる。その先端から溢れ出た蜜を纏わせるように数回、その場所を行き来したあと、蕾の薄い襞を割り裂く様にその硬いものが入り込んできた。
「――っぐ、あは……はぁ……はぁ……っ」
「息、吐いて……悠」
「なに……こ、れ! ちょ……こわ、れ――るっ」
二本の指とは比べ物にならない太さのものが、薄い襞を目一杯に広げて悠太郎の中に入ってきた。ゆっくり、じわじわと奥へと突き進むその質量に自然と息が詰まっていく。
息を吐かなければ苦しいということは頭では理解出来ている。それなのに、体を貫く様に突き込まれた灼熱のの存在感に体が反応してくれない。
「あぁ……くる、し……っ。お腹……めい……っぱい、広がって……る」
強烈な圧迫感に内臓が押し上げれるような感覚。苦しさと、込み上げるえずき、そして微かな痛みを伴った甘い痺れ。悠太郎は、うつ伏せたまま大雅を受け入れていた。
尻たぶにザラザラとした感触を覚え、後方で大雅が大きく息を吐き出す音が聞こえた。
「――全部、入った」
「え……」
掴んでいたシーツが汗でぐっしょりと濡れている。恐る恐る肩越しに振り返り涙目のまま大雅を見つめると、
口元を優雅に綻ばせ野性味を溢れさせた獣が汗を滴らせていた。
「――覚えて。俺のカタチ」
ぐっと腰を更に突き込まれ、悠太郎は力なく枕に顔を埋めながら体に籠った熱を吐き出した。
腹の奥で何かが脈打っている。自分の鼓動とは違う何か……。
それは熱くて、硬くて太くて……何よりもかけがえのないもの。
「たい……が」
最愛の男の名をそっと囁く。その声に反応するかのように、目一杯に引き伸ばされた蕾の入口を捲りながら灼熱が引き抜かれる。
「あぁ……やだっ」
すべて抜けてしまうのではないかという恐怖に、上ずった声をあげた悠太郎の背中に大雅のキスが降り注ぐ。
そしてまた、ぐっと腰をせり出し、悠太郎の内壁を擦りながら最奥を突いた。
「んあぁ!」
「エロい声……。この声、俺以外に聞かせたらダメだからな」
「はぁ、はぁ……大雅ぁ……っ」
「痛いか?」
優しげな声音に首を横に振る。むしろ、もっと動いて欲しいという欲望が先立ち、悠太郎は自ら腰を揺すった。初めてなのに淫乱だと思われるかもしれない。でも――もっと深く繋がりたかった。
夢にまでみた大雅とのセックス。それは悠太郎が思い描いていたものよりも優しく、そして気持ちが良かった。
「――もっと、動いて。俺……大雅のもの、だ……って……証拠、のこ……してっ」
「マーキング……か?」
「誰のモノにも……ならない。はぁ……はっ、誰にも……ゆる、がないっ。大雅だけの……モノ……うっ、あぁぁぁっ」
みっちりと埋められた内壁がその形に馴染み始めた時、大雅の茎が一気にギリギリまで引き抜かれ、力任せに最奥まで突き込まれた。その衝撃で、悠太郎の先端から白濁交じりの蜜が飛び散った。
「あぁ……奥、いい! もっと……なか、擦って……」
「処女が言うセリフとは……思えない、なっ。ハァハァ……悠……綺麗だよ。お前の蕾が俺のペ二スを貪欲に咥えこんで……っく! 放して……くれないっ」
「放さない……っ――っふ。一生……離さなから……っね! あぁ……大雅のが……俺の中で大きく……なってる」
悠太郎の焦れた声を聞きたいのか、大雅は入口に近いところで抽挿を繰り返す。大きく張り出したカリが悠太郎のイイ場所を掠めるたびに中が蠢動し、彼のモノを強く食い締める。
その度にハッキリとその形を意識してしまい、また愉悦に体を震わせた。
本来物理的な刺激を与えても濡れることのない器官。しかし、大雅のモノが行き来するたびに湿った音を立てて動きをスムーズにする。
好きになった男の前では無力で、悠太郎は自身が女性になってしまったかのようにも思えた。しかし、大雅が悠太郎にかける言葉は女性に対して発せられものではなかった。相手が男だからこそ言えること――悠太郎もまた、快感に濡れた甘い声でそれに応えた。
「悠……前が寂しそうに泣いてるぞ?」
「ちが……っ! 寂しく……なん、か……ないっ」
「強がるのもいい加減にしろ……でも、そこが可愛いっ。――っぐあ!」
「可愛いって……言う、な――あぁぁぁっ!」
悠の腰を抱きかかえるように上体を屈めた大雅は手を前に伸ばすと、だらだらとはしたなく蜜を溢れさせている悠太郎の雄茎を掴んだ。そして、それを激しく上下に扱き上げると、野獣のような呻き声をあげた。
「っぐお――っふ、ハァハァ……キツイ……! そんなに、締める……なっ」
触って欲しくて堪らなかった前を刺激され、悠太郎の内部は悦びに打ち震え大雅のモノをきつく喰い締めた。
二度と離さないと言いたげに粘膜が蠢動し、奥へ奥へと誘う。
最奥の壁にキスを繰り返す大雅の先端が更に膨らんだ。
「大雅……出ちゃう! また……イッちゃいそ……っ」
「俺も……よゆ、う……ないっ!――っくぅ」
悠太郎の雄茎を扱きながらパンパンと破裂音を鳴らして腰を打ち付ける大雅にも、止めることが出来ない喘ぎ声を漏らしながら唇の端から銀色の糸を滴らせた悠太郎にも、理性や余裕という言葉は微塵も残ってはいなかった。
ただ獣のように重なり合い、荒い息遣いと甘い吐息を部屋に散らかす。
悠太郎の思考がだんだんと霞み、もう出すことだけしか考えられなくなった時、彼の中で大雅が大きく膨れ脈打ったのが分かった。
「――悠。あぁ……イク……イクッ」
「大雅、俺も……アッ、アッ……ダメ、なに……これ、怖いっ」
「いっぱい出すぞ! ハァハァ……全部、うけ……とめて、くれっ!――っく、がぁぁぁぁ!」
「大雅っ、た……ぃが……あぁ……イクイク……イクぅ――ッ!」
悠太郎の中で大きく膨らんだ熱の塊が勢いよく弾けた。その激しいまでの奔流が最奥の壁を叩き、熱さで爛れた痛みが快感となって悠太郎を呑み込んだ。
内腿をブルブルと震わせ、大雅の雄茎をきつく喰い締めたまま、悠太郎は自身のモノを扱きあげていた彼の手に白濁をぶちまけた。
二度目の射精とは思えないほどの量がシーツに散らばる。大雅の指を伝って落ちる白濁の粘度は濃く、長く糸を引いた。
悠太郎の背中にしがみつく様にすべてを吐き出した大雅もまた、汗で濡れた背中を上下させて身体を震わせた。
長い長い片想いだった――。
悠太郎を思いながらも自慰に耽ることが出来なかったこの数週間。つもりに積もった想いや嫉妬、そして浅ましいほどの欲望と愛おしさを全部中に吐き出した。
頭が真っ白になり一瞬意識を失った悠太郎が濡れた睫毛を震わせた。背中に振りそそぐ、大雅からのキスが心地いい。
「大雅……」
掠れた声で名を呼ぶと、彼は額から流れる汗を乱暴に拭いながら微笑んだ。
「――俺としたことが」
「え?」
「お前のイキ顔を見れなかったなんて……」
「――は?」
「今度はちゃんと顔を見て、しよう……」
汗で襟足に張り付いた髪を払い、大雅は繋がったまま悠太郎の身体を反転させた。一度達したとはいえ、大雅にはまだ芯が通っており、それを軸に体を仰向けにされることは容易く、そして角度が変わったことで悠太郎のイイ場所を抉るような形になった。
「ふあぁっ! た、たいがぁ……らめぇ……まら、イッたばかり……らか、らぁ!」
強烈な快感を味わった直後に与えられる更なる快感に、悠太郎はまた目の前に星が飛び散るのを感じた。
尻の奥がキュッと締め付ける。中に収まったままの大雅の茎がその刺激によって大きくなる。
「やらぁ……また、お……っきく、なった!」
「悠……先に謝っておく。今夜は……止められないっ」
「えぇ……っ」
大雅の長大な雄茎が再び命を得たように大きく育っていく。それを慈しむように包み込むのは悠太郎の熱く柔らかな内襞。
膝を広げられ、大雅の肩に担がれるようにして密着する。後背位よりも深く奥に沈んだような気がして、悠太郎は羞恥に顔を背けた。まともに大雅の顔が見れない。でも……野性的な光を宿す瞳に射抜かれると、逸らすことが出来ない。
恐る恐る視線を戻し、すぐ上にある彼を見つめた。
汗を滴らせながら微笑むその男の色気たるや、悠太郎の知らない大雅の一面がそこにあった。
もっと惹かれていく……。もっと夢中になる……。
「それ……ズルい」
もっともっと――好きになる!
悠太郎は抑えていた想いを爆発させるかのように両腕を彼の首に絡めて引寄せると、何度も唇を啄んだ。
「好き……。大雅、好き……。好きで好きで……堪らないよぉ!」
大雅の綺麗な腹筋に挟まれた自身の雄茎がまた蜜を溢れさせる。
繋がった場所から溢れるのは大雅が出した白濁だろうか……。
それが腰の方まで流れた時、大雅がゆるりと腰を突きこんだ。
「っふ……あぁぁぁっ」
「あぁ……可愛い。その顔……可愛すぎるだろ……っ」
「たいがぁ……あぁ……っく」
「愛してる……。悠……お前……、お前を守れるのは……俺だけだから……なっ」
二人の舌が銀色の糸を纏わせながら絡み合う。
静かな寝室に散らかる甘い声と、荒い息遣い。
悠太郎は幸せだった。この時間がずっとずっと続けばいいと思った――そう、翌朝目覚めるまでは。
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