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第4話
「…ん、」
カーテンからの明るい陽射しで目を開ける。最悪の目覚めだ。昨夜は泣き疲れてそのまま寝たのでシャワーもしてないし夕飯も食べてない。少し頭痛がするので頭痛止めを飲んでシャワーをかかる。誠は今日、櫟田に別れを告げるつもりだ。自分に嘘をつき逢瀬なんてしている奴とは上手くやっていけないに決まっている。腹が減っては戦ができぬ、と何処かで聞いたのでいつもより少し多めに朝食を摂り少し早めに教室へ向かった。
ガラガラと引き戸を開けると、誠より先に櫟田が教室に居た。誠は櫟田の前の席に座る。
「どうした誠、話って。しかもこんな早くに」
「…あのさ…」
「うん?目、赤いね。寝不足?」
「…いや」
心の底から心配している様な顔、優しい手つきで目元を撫でられ胸がきゅんと震える。そんな顔されたら、今から誠が言うことは正しい判断な筈なのに、間違っているのかと不安になる。
「…この間の土曜日さ…どこに居たの」
「え?寮に居たよ」
「俊、用事あるって言った。首の後ろ、キスマ、ついてるし、さ、」
「…あぁ」
「ねぇ、俺のこと、好き?」
土曜日の事も、キスマークの事も聞いたのに、特に焦りもしない様子に諦めに似たような感覚をおぼえ、小さな声で問う。返ってきた言葉は余りにも鋭利だった。
「ごめん正直、最初から好きじゃなかった」
「…そ、っか。今までありがとう。」
冷たい、一切感情の篭ってない声でそう言い、もうこの話は終わりと言わんばかりに机に伏せた櫟田。誠がショックで固まり暫く動けなくなっても、その頭が上がることはなかった。
「お、櫟田と〜…才田?早いなおはよ、珍しい組み合わせだな」
「あ、…っ」
何分の間、固まっていたのか、教室に入ってきたクラスメイトの声で我に返り慌てて席を立ち教室を出た。後ろからクラスメイトの才田?どこ行くんだよ!と誠を呼ぶ声が聞こえたが無視して寮へ走る。寮から登校する生徒達が、それとは逆走する誠を見て何事かと怪訝な目を向けるが気にしている暇はなかった。一回でも瞬きをすると必死に堪えていた涙が零れ落ちそうだったから。
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