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第6話

ぐるぐると色々な気持ちが胸を渦巻く。櫟田の事をまだ好きかと聞かれるとよく分からない。もう別れたが『改心したからまた付き合おう』と言われても誠は頷かないだろう。だがらと言って篠宮と付き合えるか、と言われると微妙な所だ。だって篠宮はただのクラスメイトで同室、選手とマネージャーという関係だから、そういう風に意識した事がなかった。 「才田、俺と…付き合おう」 「でも」 「一年前からずっと前から好きだった。俺なら才田を独りにしない」 一途でストレートな告白に先程とは別の涙が溢れ出す。 ソファについていた両手はいつの間にか誠の両頬を愛おしそうに撫でていた。 「そんな顔されると困る」 「…ふ、ぅ…篠宮く、…っ…」 「…キス、してもいい?」 篠宮は眉を下げて笑う。きっと酷い顔だろう。温かい涙は止まらないし鼻水も垂れているかもしれない。でもそんな顔も可愛いと言いながら指先で誠の頬を伝う涙を拭った。 返事を待たずに篠宮の顔がぐっと近付く。 条件反射できゅっと目を瞑ると目元にふわっとキスが落とされた。温かくて優しいキスだった。 「ふふ…しょっぱい」 「…ん…」 「昼寝しようか。泣き過ぎで目が溶ける」 また誠の返事を待たず、篠宮はひょいと誠を抱え自分の部屋に入った。誠は篠宮より身長は低いがそこまで小柄な訳では無い。篠宮は線が細めなのにぬいぐるみを持つ様な感じで自分を抱き上げたのに少し驚いた。 ベッドの壁側にふわりと下ろされる。部屋中篠宮の匂いだ、とどこか冷静な頭で感じていると、ベッドのスプリングを軋ませながら隣に潜り込んでくる篠宮。 「えっ」 「え?」 「何で、入って」 「え?一緒に昼寝するんだよ」 「そ、そっか、?」 「うん」 自然に腕枕されて頭を胸に抱き寄せられる。身体中密着していて篠宮の鼓動がダイレクトに伝わってくる。誠の鼓動より少し速い。思わず見上げると気まずそうに目を逸らされた。 「…篠宮くん顔赤い」 「…見ないで。好きな奴と同じベッドで寝てるんだから当たり前」 「…言い方…」 「ねぇ、付き合ってくれる?」 「…うん、まだ心の整理ついてないけど…よろしくお願いします」 今度は待たせず返事をした。まだ完全に櫟田の事が振り切れた訳では無い。自分でも都合がいいと思う。 だけど今こうやって篠宮と抱き合って、櫟田とハグした時と同じ様にドキドキしているのも確かなのだ。 「嬉しい。ありがとう才田」 「うん、こちらこそ」 嬉しそうに微笑む篠宮につられて誠もへにゃりと笑う ぎゅうっと息苦しくなるくらい抱き締められてそのまま目を閉じた

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