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第7話
「才田、起きて」
「…ん?」
ゆさゆさと肩を揺さぶられ重い瞼を開けると美形のドアップが視界を占めて誠は思わずヒッと声を漏らした。
そんな誠を見て篠宮は心の中で『可愛い』と呟きながらニコッと笑い思ってもいない謝罪をした。
「あぁ、ごめん驚かせた」
「…んっ、うん。カッコよくてびっくりした…大丈夫」
「…ありがとう…これから慣れてね…」
「…あ、…忘れて!!!」
「…はぁ…うん。飯にしよっか。」
思った事がそのまま口に出てしまい誠は慌てて口を抑える。篠宮が何とも言えない顔をしているのを見て、自分はとてつもなく恥ずかしい事を言ったのだと気付いた。
リビングにあるローテーブルには野菜炒めや白米、唐揚げが並べられている。冷蔵庫の中にはカロリーメイト等しか入ってなかったのは見間違いだったのか、と誠は豪快に食べ始める篠宮を見た。
「あ、学食で特別に持ち帰りしてきたんだよ。土曜日スーパー行こう」
「一緒に出掛けてくれるの?」
「当たり前じゃん」
「…え…本当?楽しみ!」
(慣れないといけないのは俺の方か)
一緒に寮の外に出る予定ができただけで無邪気に喜ぶ誠を見て篠宮は内心頭を抱えた。ただの買い物なのにこんなに嬉しそうにされるとは思ってもいなかったのだ。これはデートにでも誘った日には泣いて喜ぶのではないか?と心配になる篠宮だった。
スーパーに行くと言ってから、どこか嬉しそうな表情でもぐもぐと口を動かす才田を見て思わず質問攻めしたくなる。
──櫟田とは寮の外にデートした事とかないの?
──櫟田とはもうセックスした?
──櫟田とは────
それらの問いは喉まで出かかったがすんでのところで止めた。聞くのは今じゃない。
聴きたいことをグっと我慢して食べ終わった才田を風呂に勧める篠宮だった。
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