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第15話

誠が風呂を上がって少し経った時、部屋のドアがノックされた。すぐにベッドから飛び降りてドアを開けようとするが外側から声で制される。 『誠、起きてる?』 「篠宮くん!」 『あ、いいよ出てこなくて、おやすみ』 「…おやすみ…」 ドア越しに聞こえた有無を言わさない声に誠は眉を垂らしてベッドに腰掛けた。そのまま後ろに倒れるといつもの天井。 (まぁ…引かれても何も言えないよな…) 原因は自分のフェラ発言だろう。 誠は考える。でも何が正解だったんだろう。誠の中では、男イコール櫟田だから、櫟田が興奮するとそのまま流れで性行為をしていたし、男はみんなそうだと思っていた。誠自身はそれを当たり前だと思って嫌悪していなかったし、求められるのは嬉しかった。だけど篠宮は違うらしい。 ベッドに寝転んでいたはずなのに考えているといつの間にか床に正座している誠。うじうじ悩んでも仕方ないし、目を閉じると櫟田の顔と今日された事を思い出して、何だか不安になった誠は篠宮の部屋のドアをノックした。 「…篠宮くん…起きてる?」 『え?誠?起きてるよ。どうした?』 「おおお邪魔します!」 「は?え?ちょ、おい誠!」 「俺ら付き合ってるもんね!」 「そ、そうだけど急に何どうした」 急に入室してきた誠に目をぱちぱちさせて驚く篠宮を無視してベッドに上がる。篠宮は思わず起き上がり壁側に寄る。その様子を見た誠は嫌がってるのかな、と勘違いして眉を八の字にした。 「あのね、一緒に寝たいなって…だめ?かなぁ…?」 「…じゃないけど俺の方がだめって言うか…」 漫画なら、きゅるるん!と横に書いてありそうな瞳で見つめられ篠宮は心の中で、ぐぅっと唸る。さっきの今で近寄ってくる誠は警戒心が薄いのか信頼されているのか分からないが色々危ない。襲う自信しかない。どうしようかと吃る篠宮に誠は食い下がる。 「…なら寝ないから一回だけぎゅってして、ほしいです」 「…ん〜……誠って意外と大胆なんだ…」 「っわ」 額を人差し指でツンと押されてあっさり仰向けに倒れると篠宮が覆いかぶさってくる。薄暗い部屋で、柔らかな微笑みは月明かりに照らされているのがとても綺麗だな…と誠はどこか冷静に思った。 「まさか夜這いなんてね」 「やっ!違う!っ、ぃたっ!」 「…俺のって印」 不意に顔が近付き、キスされる…!と目を閉じると首元にチクリと痛みが走る。『俺の印』、それでキスマークを付けられたのだと理解して体温が上がったような気がした。 櫟田と違いストレートに愛情表現をしてくれる篠宮と、嬉しいのに恥ずかしくて思ってもない事を言ってしまう誠 「…痛い…」 「ごめん」 「……俺も…つけていい…?」 「うん、もちろん。つけて」 「ほんとに?いいの?水着だったら見えちゃう」 「そんなの関係ないだろ。俺は誠のだからさ。早くつけて」

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