24 / 51
第24話
8人が一斉に飛び込む。第3コースが篠宮、第5コースが櫟田だ。種目はバタフライの200m。
一回目のターンは当たり前のように第4コースの他校の選手が一番速い。次に篠宮、櫟田の順。残り100m。残り50m…第4コースの選手より少し篠宮がリードしている。会場内は大熱狂の声援が飛んでいる。誠もそれに負けないように持っていたメガホンで声援を送る。
「篠宮くーーーん!!!!」
「櫟田ァァァーラストーー!!!!」
「篠宮ーーー!!!!飛ばせーーー!!!」
(翔くん翔くん…!!!)
心の中で何度も名前を呼ぶ。
篠宮は名前の通り翔くように泳ぐ。見ている人が見とれるような綺麗で豪快なフォームだ。全員同じ型を泳いでいるはずなのに、篠宮のそれだけ別の物のような感じがして誠は声援を送るのを止めてじっと見つめた。
残り25m…20m…5m…
両手を握り必死に祈る。指先が壁に触れる。
瞬間、壁についている大きな電光掲示板に『大会新記録おめでとう』の文字が大きく表示された。
その下には『第5コース ○○高校 櫟田 俊くん』の文字
「…嘘だろ…」
周りでワっと歓声が上がる。
1位を取ったのは櫟田だった。
ともだちにシェアしよう!